著者
山田 節夫
出版者
専修大学経済学会
雑誌
専修経済学論集 = Economic bulletin of the Senshu University (ISSN:03864383)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.41-50, 2018-07

特許出願数は,研究開発の成果を意味する指標としてイノベーション研究に頻繁に用いられている。それは,研究開発費と特許出願数の間に安定的な正の関係が見いだされるからに他ならない。しかし,近年の日本において,研究開発費の増勢傾向に変化がないにも関わらず,特許出願数の持続的減少が観察されている。研究開発費と特許出願数の間には,様々な要因が作用していると考えられるが,もしその主要な要因が研究開発生産性の低下であるなら,こうした現象は深刻な事態を意味していることになる。ただし,1988年に導入された「改善多項制」の影響が大きいとも考えられる。そこで本稿では「改善多項制」の影響を十分に考慮した「特許出願関数」を設定し,1985年~2007年における日本の主要産業に属する東証一部上場企業312社のプーリング・データを作成し推計した。推計の結果,特許出願数の減少傾向は主として「改善多項制」の利用の普及にあることが明らかとなった。
著者
中西 泰夫 山田 節夫
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.79-96, 2010-01-27

この論文の目的は, 特許の質と特許の陳腐化率および特許の価値を調べることにある. 特許の質と陳腐化率および特許の価値を実際のデータから計測して, 特許の質が陳腐化率と特許の価値をどのように規定しているか明らかにする. そして特許の価値をもとめる. また質がどれだけの価値を持つかを計測して明らかにする. この論文では, 特許の陳腐化率と初期の価値のパラメータを推定して得ることにより, 特許の価値を質を考慮して定量的に求めた. そこで特許の質についても定量的に評価額を求めることができ, 社会的にも有用である結果を得た. 推定した結果, すべてのパラメータについて有意な推定結果を得た. 化学産業と医薬品産業に関しては, 陳腐化率が高く, 初期の価値も高い値であった. 特許の質を考慮すると, 化学産業と医薬品産業では, 大きな影響があった. 特に被引用が7以上の特許については, 価値がはなはだしく大きかった.
著者
宮田 章裕 松岡 寿延 岡野 真一 山田 節夫 石打 智美 荒川 則泰 加藤 泰久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.4041-4050, 2007-12-15
参考文献数
15
被引用文献数
7

本研究では,ブログ記事を取り巻く人々のインタラクションの様子「反響特性」を利用したブログ記事検索手法を提案する.ブログ記事は被リンク数が非常に少ない等,従来のWeb ページとは異なった性質を持つため,既存の検索手法が提示する記事を人間が読んでも有用と感じられない場合がある.また,既存検索手法は大衆から注目を集めている情報の提示に重点を置いているため,個々の閲覧目的に応じた記事を提示することができない.そこで本研究では,ブログ記事の書き手・読み手の行動は記事に対する人間の判断を反映しているという仮説に基づき,彼らのインタラクション情報を多面的に分析して「広さ,強さ,速さ,長さ」からなる多次元指標「反響特性」を定義する.この反響特性を用いることによって,「幅広い人から関心を集めている記事」や「長期間関心を集め続けている記事」というように,人間が実際に読んで有用と感じられる記事の多面的な観点から検索することが可能になる.提案手法が有用な記事を提示できるか検証実験を行ったところ,既存手法よりもユーザの満足度が高くなるという結果が得られ,提案手法に一定の有効性が確認できた.We present a method of searching blog entries that takes into account the response derived from the interaction of the blogger and readers. Here, response is composed of width, strength, speed, and length. These indicators enable users to find entries in which many readers are interested, in which a small group has an enthusiastic interest, in which a few members are chatting at intervals of a few seconds, and in which many readers have shown interest over a long period. An experiment conducted with a prototype system is presented. For a particular situation (searching movie reviews), our method has shown better results than an existing blog search service.