著者
財津 庸子 中西 雪夫 柳 晶子
出版者
大分大学
雑誌
大分大学教育福祉科学部研究紀要 (ISSN:13450875)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.73-84, 2005-04

本研究は、家庭科カリキュラムの改善に示唆を得ようとする日本家庭科教育学会の一連の研究に属する。我々は、同学会が実施した全国調査の結果について検討し、さらに必要な幾つかの追加調査を行った。本調査は教員志望大学生を対象に、全国及び九州地区で実施した小中高校生対象の調査とほぼ同一内容のアンケートを実施したものである。その結果は家庭科教員養成カリキュラム改善へ反映させていきたい。調査内容は部屋での過ごし方、使い方に関するもので、自由記述による質問紙法を採用した。結果を以下に述べる。1)大学生は、小中高校生と比べて、自分にとって過ごしやすい空間を自分で整えるための具体的行動が増加する傾向がある。2)発達段階や男女による記述内容の傾向の違いが認められた内容については、取り扱いの検討が必要であると考えている。3)所得希望教員免許別では、顕著な差は見出されなかった。以上の結果より、今後の家庭科教員養成カリキュラムにおいては、大学生の住生活についての意識や実態をふまえて、学習内容や学習方法の具体的な検討が必要である。
著者
中西 雪夫
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.217-225, 2011-01-01 (Released:2017-11-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1

The purpose of this study is to investigate the significance of coeducational home economics. In order to achieve this purpose, two surveys were carried out, before and after the introduction of coeducational home economics. The first survey was conducted in 1990, and the second in 1998. In both surveys, the same questionnaires were used. The major findings were as follows. 1. Male students who studied home economics accepted diverse family styles, had an intimate attitude towards their family, and had views toward sex roles less influenced by gender. And they participated in household work actively than male students who didn't study home economics. 2. Female students who studied home economics in a coeducational class room accepted diverse family styles, and had views toward sex roles less influenced by gender. 3. Male students who studied home economics in coeducational class room showed higher degree of "readiness for parenthood" than male students who studied home economics in male only class room. By surveys of university students and adults, impressions of home economics have been changing. They who studied coeducational home economics acknowledged studying home economics.
著者
中西 雪夫
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.217-225, 2011-01-01

The purpose of this study is to investigate the significance of coeducational home economics. In order to achieve this purpose, two surveys were carried out, before and after the introduction of coeducational home economics. The first survey was conducted in 1990, and the second in 1998. In both surveys, the same questionnaires were used. The major findings were as follows. 1. Male students who studied home economics accepted diverse family styles, had an intimate attitude towards their family, and had views toward sex roles less influenced by gender. And they participated in household work actively than male students who didn't study home economics. 2. Female students who studied home economics in a coeducational class room accepted diverse family styles, and had views toward sex roles less influenced by gender. 3. Male students who studied home economics in coeducational class room showed higher degree of "readiness for parenthood" than male students who studied home economics in male only class room. By surveys of university students and adults, impressions of home economics have been changing. They who studied coeducational home economics acknowledged studying home economics.
著者
中西 雪夫 柳 昌子 財津 庸子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.3, 2003

【目的】 <br>家庭科では住まい方に関心をもったり、室内環境を整えよりよい住まい方.を工夫したりする能力を育成しようとしている。学習主体である児童・生徒は、現実の生活やマスコミなどの情報の影響を受けて様々な住まい観をもつと考えられる。本研究では日本家庭科教育学会の「家庭生活についての全国調査」の結果を踏まえながら、さらに児童・生徒の意識に踏み込んだ調査を 実施し、住生活についての具体的な教育狭題を得ようとするものである。<br>【方法】<br>全国調査の住生活に関する意思決定の10項目それぞれに下位質問項目を作成し、自記式質問紙法で九州地区の小学絞4年生93名、6年生108名、中学.絞2年生115名、高等学校2年生106名、合計422名に実施した。質問は「もしもあなたが一人で使える部屋をもらえるとしたら、どんなことを大切にしたいと思いますか」と尋ねた後、「もう少しくわしく答えてください」と求めた。回答は単語のみ、箇条書き、文章と様々であったが、コード化して整理・分析した。<br>【結果】<br>1 部屋と空間との関わり<br>(1)好きなように部屋をかざること 「何をどんなふうに飾るの?」と尋ねたところ、ポスター等「何かを貼る」という回答と、好きな物など「何かを置く」という回答が多かった。「貼る」では小4、小6女子が、「置く」では小6男子、中2女子が高かった。高学年になるにつれて家具の配置、部屋の色使いなどと回答は多様化している。<br>(2)片づけて整理・せいとんすること 「片づいた部屋ってどんな部屋?」に対し、きれい、整理された等、肯定的記述と、ゴミが無い、ごちゃごちゃしてない等、否定的記述に分かれた。肯定の中では「きれい」が全体として25%前後と高く、とくに中2男子、高2男子が高かった。否定の中では「散らかってない」が20%前後と高く、小6女子、中2女子が高かった。<br>(3)そうじをして、清潔にすること 「清潔か清潔じゃないかってどうやったらわかるの?」に対し、ごみやほこりが無いことという記述が多く、とくに小5男子が高かった。「わからない」の回答は男女とも小4に多かった。<br>(4)風通しをよくすること 「なんのために風通しをよくするの?」に対し、換気や温度調節の記述が多く、気分転換などの回答もあった。<br>(5)部屋の位置および部屋の佐用期限についての希望 これは地区独自の設定項目である。「家の中のどのあたりがいい?」に対し回答は多様であり、配置は「2階」が多かった。また「その部屋はいつまで使いたい?」に対し、「自立するまで」は学年進行とともに高くなった。<br>2 部屋と人間関係<br> (1)ひとりでのんびりすること「ひとりでのんびりするってどういうことをするの?」に対し、「寝ること」と答えたものは学年進行とともに増え、男子、とくに小4男子に多かった。読書など「動きが少ない活動」は小6が最も多く、どの学年でも女子が圧倒的に多かった。「動きが多い活動」を答えたものは少数であったが、低学年、男子に多い傾向があった。(2)静かに勉強すること 「静かでないってどんなこと?」に対し、「うるさいこと」というように反対語に言い換えた答えが最も多く、男子に多く見られた。「テレビの音」は、高杖を除くと女子の方が多く、学年では小6と中2が高かった。「人の話し声」はどの学年でも女子に多く、とくに小4女子が飛び抜けていた。(3)友だちをよんで楽しくすごす 「楽しくすごすために何をしたいの?」に対し、「ゲーム」は低学年、男子が多く、とくに小4男子が飛び抜けていた。「おしやべり」と答えたのは逆に高学年、女子で多かった。ゲームと限定せずに「遊ぶ」と答えたのは低学年女子に多かった。(4)部屋にいても家族のようすがわかる 「どうして家族のようすが知りたいの?」に対し、「知りたいとは思わない」は高学年ほど多かった。「何をしているのか知りたい」は小学生と高2女子に多かった。「安心する」など情緒面の答えは小学生に多く、中2女子にも多かった。「わからない」と答えたのは、小4男女に多かった。(5)パソコンやテレビなどをひとりで使う 「みんなでテレビを見るのとどうちがうの?」に対し、「好きな番組を見られる」という回答が最も多く、小6を除いて女子の方が多かった。ひとりで見ると「寂しい」という答えは小4男女にみられたが、他の学年ではほとんど見られなかった。(6)ドアにカギをつけて家族が入らないようにする 「どうしてそう思ようになったの?」に対し、全体では「カギをつけようと思わない」が多かったが、中学生には少なかった。カギをつけたい理由で「家族が勝手に入ってくるから」は中2が飛び抜けていた。「見られたくない物・事がある」はどの学年でも女子が圧倒的に多かった。
著者
中西 雪夫
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.347-353, 2002-01-01
被引用文献数
2

The purpose and method of this study have been outlined in part 1. In this study, high school students' consciousness of family and child rearing after the introduction of coeducational home economics is compared with the consciousness of students before the introduction of coeducational home economics. In this second part, high school students' views toward sex roles and participation in household work are analyzed. The major findings of this part are as follows. Male students who studied home economics had views toward sex roles less influenced by gender. Furthermore, they do not appear to be tied down to consciousness of the "Ie" institution. 2. Female students who studied home economics in a coeducational class room had views toward sex roles less influenced by gender. And they too do not appear to be tied down to consciousness of the"Ie" institution. 3. Male students who studied home economics participated in household work actively than male students who did not study home economics.