著者
北村 尚人 中谷 淳子 中田 光紀
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.295-300, 2014-12-01 (Released:2014-12-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

勤労者の睡眠問題と主観的健康感(以下,健康感)の関連を明らかにするために,日本人43,092人(男性34,164人,女性8,928人)を対象に質問紙調査を行った.健康感と睡眠問題の関連は多重ロジスティック回帰分析により解析し,オッズ比(OR)を求めた.男女間で健康感を「あまり良くない,非常に良くない」と答えた人の割合に有意な差があったため(男性29.4%,女性34.1%,P < 0.001),男女別に解析した.睡眠問題なしの者に比べ,睡眠6時間未満(OR = 男性1.39,女性1.40),入眠困難(OR = 男性4.44,女性3.85),中途覚醒(OR = 男性5.72,女性4.85),早朝覚醒(OR = 男性3.87,女性4.25),起床困難(OR = 男性3.30,女性3.40),起床時疲労感(OR = 4.97,女性4.82)および仕事中の過度の眠気(OR = 男性2.34,女性2.11)を有する者は有意に健康感が悪かった.睡眠問題と健康感の関連の強さは男女差が認められなかった.本研究により,勤労者において睡眠問題と健康感は関連することが示された.
著者
中谷 淳子 池田 智子
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.73-78, 2011

2010年8月産業医科大学産業保健学部は, 東京都内において「第3回国際産業看護・第2回アジア産業看護ジョイント学術集会」の特別企画として, シンポジウム-仕事とポジティブ・メンタルヘルス-を開催した. 基調講演として, オランダ・ユトレヒト大学のウィルマー・シャウフェリ教授が「ワーク・エンゲイジメント」の概念について説明された. その理論は, 仕事に対する活力・熱意・没頭の3要素が高い労働者は, 心身ともに健康状態が良好で, 組織の活性化や生産性向上にも貢献するというものである. 続いて, 心理学者, 産業医, 企業の人事担当者および内閣府審議官によるパネルディスカッションを行った. その結果, 深刻なうつ病の予防対策は職場におけるメンタルヘルス対策において必要であるが, それだけでは不十分であり, 同時に健康な労働者のさらなる健康を目指す対策も取り入れて, 職場全体の健康を増進して行くことが, 今後の課題であるという共通認識に至った.
著者
川本 利恵子 村瀬 千春 石原 逸子 生嶋 美春 中谷 淳子 原賀 美紀 清水 遵
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.305-313, 2005
被引用文献数
2 10

本研究は, 快適職場環境の形成に香りの効果を有効的に活用するための基礎的なデータを得る目的で行われた. 実験は, 被験者である14名の女子学生おのおのに対して, レモンの香りのある実験室とレモンの香りのない実験室という2つの異なった環境下における単純加算作業の成績, 生理的変化, 気分変化を調べ, その差を比較検討した. 実験結果は, レモンの香りは作業効率を変化させないが, 疲労を軽減させ, 活力の低下を予防することを示唆した.