- 著者
-
正野 逸子
川本 利恵子
村瀬 千春
- 出版者
- 産業医科大学学会
- 雑誌
- 産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.1, 2002-03-01
【研究目的】在宅ケアチームで訪問看護婦と最も協働場面の多い,ホームヘルパーの業務内容の基礎データを得るために実態調査を行った.【研究方法】調査対象:北九州市Kヘルパーステーションに従事するホームヘルパー4名であり,訪問調査数4例(サンプル)である.ホームヘルパーおよび訪問相手先がともに本調査に同意した者のみが対象となっている.調査方法:タイムスタディによる30秒スナップリーディング法を用いて1名のホームヘルパーに1名の観察者が追随し,休憩時間を除く9〜12時までの作業動作内容をすべて観察記録した.看護業務の分類:越河氏の看護業務分類(大分類項目(以下大項目と略)20項目,小分類項目(以下小項目と略)342項目に,研究者が訪問介護の特有の業務と予測した内容を項目として大頃日に7項目,小項目に109項目追加した.【結果及び考察】1.作業場所:最も多い作業場所は利用者宅,次に屋外であった,2,関わる相手:ホームヘルパーが関わる相手で最も多いのは相手なしで,次に利用者・家族であった.相手なしが多いのは,利用者・家族への直接援助が少なく,家事援助が大部分を占めるホームヘルプサービスの特徴を示していると考える.3.大項目別業務量構成:大項目別業務量構成のスナップトータル数が100を越えるのは「補助者業務」「訪問に関する移動」「コミュニケーション」の3項目であった.サンプル別に比較すると,「補助者業務」以外はサンプルによって差が認められた.4,小項目別業務量構成:大項目別業務量の中で出現数の多かった頃日は,ホームヘルパーに特有な業務である「補助者業務」であり,その中でスナップ出現数が多かったのは"病室の掃除・整頓""病室以外の掃除"・整頓"調理""買い物"であった.この結果は家事援助の業務がホームヘルパーの業務の特徴であるが,その特徴を示していた.また,「コミュニケーション」で日常会話のスナップ出現数が多いのは,日常会話から関係作りやその日の業務の要望把握が行われること,日常会話そのものが精神的慰安にもなり、結果として業務の一環として行われることによるものではないかと考える.