著者
池田 浩二 中野 隆之 米元 俊一 藤井 信 侯 徳興 吉元 誠 倉田 理恵 高峯 和則 菅沼 俊彦
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.875-881, 2012 (Released:2017-12-15)
参考文献数
27

「芋焼酎粕飲料(新飲料)」の生体防御能亢進効果に関する試験を行った。新飲料のガン抑制能試験では,サルコーマを接種したマウスに新飲料区の摂取によって腫瘍の重量増加が抑制されており,両者間は5%水準の有意差であり,ガン細胞増殖抑制効果が認められた。このときの脾臓のNK活性はコントロール区に比べて高い値を示し,この両者間では0.1%水準で有意な差が認められ,非常に強いNK細胞活性を示した。新飲料の摂取によって生体防御能が高く維持され,また,新飲料に含まれるポリフェノールの抗酸化作用によっても腫瘍の増殖が抑制されたと考えられた。
著者
中野 隆之
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.211-220, 2020-03-15 (Released:2020-04-01)
参考文献数
33

目的 近年高齢者の間でジョギング・ランニング活動の実施率が以前と比較して高まっている。本研究はジョギング・ランニング活動をおこなう高齢者のQOLの特徴とジョギング・ランニング活動との関連を調査した。方法 質問紙調査は2014年11月から2015年7月までの間に,7つのマラソン大会会場で60歳から81歳までの83人のマラソン参加者を対象としておこなわれた。性別と年齢のほかに,ジョギング・ランニング活動における走行年数,走行距離(km/月),走行頻度(回数/週),マラソン大会参加回数(回数/年)およびQOLが調査された。QOLはWHOQOL26の質問票により測定された。この質問票は全体,身体的領域,心理的領域,社会的関係,環境領域から構成される。QOLとそれ以外の項目との関連は,相関分析と重回帰分析を使って分析された。結果 対象者の多くは5年以上の走行年数,1月あたり150 km以下の走行距離,1週間あたり1回から4回の走行頻度,1年あたり1回から10回のマラソン大会の参加回数であった。対象者のうち65歳以上の男女別にQOLをみると,平均値(SD)は男性が3.8(0.4),女性が4.1(0.5)であったが,この得点は,日本の高齢者を対象とした先行研究での得点よりも高いものであった。またジョガー・ランナーによくみられる下肢障害など体の痛みを示すものはみられなかった。 全体的なQOLが年齢と走行頻度との間で,社会的関係に関するQOLが性別と走行年数との間で,また環境領域に関するQOLが走行年数との間で,それぞれ正の有意な相関が示された。結論 調査対象となった高齢者にとって可能な限り,より多くの走行頻度と,より長い走行年数を考えたジョギング・ランニング活動をおこなうことと「全体」,「社会的関係」,「環境領域」のQOLの高さとの間に有意な関連があることが示唆された。この研究結果をさらに厳密に解釈するためには,より多くの対象者や変数を使った対照研究,縦断研究が必要である。
著者
池田 浩二 中野 隆之 藤井 信 侯 徳興 吉元 誠 倉田 理恵 高峯 和則 菅沼 俊彦
出版者
日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.355-361, 2012-05-15
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

芋焼酎粕の有用成分に着目し,米麹を添加した独自の香味改善と機能性の増強を目的とした製造方法で得られた芋焼酎粕飲料(新飲料)について,生理作用を検討した。その結果,次のことが明らかになった。<br>(1)新飲料には,クエン酸,アミノ酸がそれぞれ約1%,ミネラルではカリウムが多く,ビタミン類ではナイアシン,パントテン酸,ビオチン,ビタミンB2,葉酸などが比較的多く含まれていた。ポリフェノールは約0.1%,食物繊維は0.3%,GABAも含まれており,様々な成分による相乗効果が期待される栄養豊富な飲料であることが考えられた。<br>(2)動物試験において,新飲料はその嗜好性から飼料摂食量が増えたが,体重増に有意差が見られず新飲料摂食により代謝が高まることが考えられた。なお,臓器重量には有意差はみられなかった。<br>(3)新飲料摂食試験の結果,強い血清中性脂質抑制効果,総コレステロール抑制効果,特に悪玉であるLDLコレステロールを大幅に有意に減少させ,善玉であるHDLコレステロールは減少させない結果が得られ,さらに,血糖値を抑制する効果が明らかになった。<br>以上のように,芋焼酎粕を原料とした新飲料の脂質代謝改善作用,高血糖抑制効果などの生理作用や食品機能を明らかにできたことから,生活習慣病やメタボリックシンドロームなどの予防や改善効果をもたらすすぐれた飲料であると考えられる。