著者
小山 智之 串田 高幸
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.504-514, 2022-02-15

現在,Webサービスは広く利用されており,利用者の増加とともにアクセス数が増加している.アクセス数が増えるにつれ,サーバから生成されるアクセスログの件数は大規模になる.大規模なログの管理手法の1つである分散型は,ログを複数のノードに分散配置することで検索時のディスクI/Oにともなう負荷を分散している.分散型ログ管理の課題は,検索時のログへのアクセス傾向が十分に考慮されないためディスクI/Oが一部のノードへ偏り,検索の応答時間が高速でないことである.本研究では,Webアクセスログを対象とした検索クエリを想定した分散ログ配置により,検索の応答時間を削減する手法を提案する.具体的には,検索で発行されるクエリを想定し,それをもとにログに含まれる属性(PathやMethod,ノード名,日付)から特徴量を取り出し,ログの分割と再配置を行った.これにより,検索クエリにより偏るディスクI/Oを分散させ,検索の応答時間を削減した.評価では,86,400,000件のログを13台のノード上に3種類の手法(提案配置,ノード配置,時系列配置)により配置し,発行する検索クエリを変えながら検索の応答時間を比較した.その結果,提案配置は他の配置に比べ最大32秒の短縮を行った.
著者
飯島 貴政 串田 高幸
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2020-DPS-182, no.57, pp.1-7, 2020-03-05

自然災害が発生した場合のデータセンターへの影響は地震や台風の直接的な損害に加え,電力供給会社による計画停電,土砂崩れによる電線の切断の間接的な損害が考えられる.この手法では 1 分ごとに災害の種類名を SNS 上で検索し,最新の情報のモデル,過去に災害が発生した時刻の前後で前述したデータのモデルをピアソンの相関関数によって類似率を計算し自動で構成とデータを複製することで耐障害性を実現する分散バックアップ手法を提案する.既存のバックアップ手法と比較してバックアップが完了するまでの時間の削減を目的とした.既存のバックアップ手法と提案手法での災害発生からバックアップが完了するまでの時間面と費用面での比較を行うことで評価を行った.結果,既存の手法に比べ災害発生からバックアップ開始から終了までの作業時間が約 51.8% 削減された.また,期間を設定し評価を行った際に約 49.9% コストが削減できた.
著者
山内長承 河内谷清久仁 串田 高幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.20, pp.19-24, 1996-02-29
被引用文献数
4

資源の確保状況に応じて、転送を拒否するのではなく、動画・音声データの圧縮率を変更するなどして、柔軟に転送サービスを実現する動的QoSの技術が試みられている。動的QoSの概念は、予約できない資源へも拡張できるので、予約できる資源とできない資源の混在する環境を統一的に扱える可能性を持っている。本報告では、初めに資源管理を利用してQoS制御をする技術を整理し、帯域予約できないネットワーク上での動的QoS技術の初期実験の概要と結果を報告し、問題点を整理する。The dynamic QoS technology, which, instead of refusing the service because of the short available resources, continues video/audio transmission by changing the data rate according to the available resource amount, has been experimented in several places. Since the concept of the dynamic QoS can be expanded to the resources where no reservation mechanism is implemented, it will be a reasonable candidate to manage services using both reservable and non-reservable resources. This report will first sort out the concepts and ideas about the dynamic QoS control, and then explain about our initial stage experiment and its results with a list of the problems to be solved in the next step.