著者
成澤 孝人 丸 祐一 蟻川 恒正 西土 彰一郎 石川 健治 成原 慧 坂井 大輔 小池 洋平 中川 律 福嶋 敏明
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、戦後憲法学を切り開いた奥平康弘の憲法学を、多面的、総合的に検討することによって、日本憲法学における奥平憲法学の足跡を改めて確認し、戦後憲法学の成果を奥平憲法学との比較において検討することを企図している。そのために、本研究は、奥平の死後、信州大学に寄贈された資料を整理した上で利用する。資料の中でも、奥平が所蔵していた図書は、すでに「信州大学奥平康弘コレクション」として信州大学付属図書館に所蔵されている。本研究は、奥平が遺した図書以外の資料を整理し、信州大学付属図書館の協力を得て、コレクションの拡充をおこなう。研究者は、コレクションを利用しながら、奥平憲法学の深部に迫る。
著者
丸 祐一
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.108-118, 2020-04-30 (Released:2021-04-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

臨床研究が倫理的であるための原則の1 つとしてエマニュエルら(2004)は協働的パートナーシップ(collaborative partnership)をあげている.このようなパートナーシップを構築する活動としては,例えば,臨床試験への「患者・市民参画」(Patient and Public Involvement(PPI))がある.PPIは,診療ガイドラインや臨床試験の研究計画の作成などに患者参画を求める英国での運動であるが,近年,PPIは役に立っているのかという観点から評価に曝されている.しかしPPIが患者・市民の「権利」だから行われるべきならば役に立つかどうかとは無関係に参画は保障されなければならないのではないだろうか.また,医療者と患者・市民との理性的な対話による合意形成というパートナーシップのあり方は,生命倫理における市民運動的な情念を飼い慣らす「生―権力」的な働きをしているのではないか.
著者
丸 祐一
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学社会文化科学研究 (ISSN:13428403)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.151-163, 2001-02-01

本稿の目的は、アメリカの法哲学者ロナルド・ドゥオーキンが提唱する憲法の読み方「道徳的読解(moralreading)」がどの様な考え方であるのかを明らかにすることである。ドゥオーキンは彼の一連の著作を通じて、法解釈には道徳的な考慮が不可欠であるという主張を繰り返している。その中でも、本稿で取り上げる「道徳的読解」という考え方は、その名称からしても、彼の主張を最も直裁に表していると言えよう。