著者
今津 節生 岩佐 光晴 丸山 士郎 浅見 龍介 楠井 隆志 神庭 伸幸 和田 浩 鳥越 俊行 金子 啓明 山崎 隆之 矢野 健一郎 成瀬 正和
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は興福寺の許可を得てX線CT調査で得た国宝 阿修羅像をはじめとする十大弟子像4躯、八部衆像5躯の高精細三次元デーを美術史・工芸史・修復技術・文化財科学・博物館学の専門知識を集めて解析した。私達はX線CTによって得られた三次元画像を観察して議論を進めた。その結果、1270年あまり前に製作された脱活乾漆像の構造や技法、過去の修復履歴などを明らかにした。本研究の結果、阿修羅像の心木は虫食が無い良好な状態であることを確認した。また、鎌倉時代と明治時代の修理の痕跡も把握した。さらに三次元データから阿修羅像の塑土原型像を復元することに成功した。また、最終年度に本研究の成果をまとめた報告書を製作した。
著者
高橋 裕次 小宮 木代良 丸山 士郎 佐々木 利和 小野 真由美 池田 宏 山口 俊浩
出版者
独立行政法人国立博物館東京国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題の最大の目的である、江戸幕府旧蔵資料の所蔵情報の把握を行うために、資料を所蔵している諸機関について情報収集を行い、所蔵の確認をした。さらに、江戸幕府旧蔵資料を引継いで管理していた東京国立博物館において、基礎的な情報を把握するため、収蔵品に関する様々なデータの整理をした。また、「浅草文庫」の目録や、帝室博物館の収蔵品目録、明治10年に博物館が作成した『博物館書目』をとおして、江戸幕府の引継ぎ資料の全体像を把握するための詳細調査を実施した。収集した江戸幕府旧蔵資料の所蔵情報をもとに、「江戸幕府旧蔵資料データベース」(暫定版)を作成した。収録したのは、東京国立博物館、宮内庁書陵部、国立公文書館内閣文庫、静岡県立図書館の所蔵する資料である。その点数が厖大であり、必ずしも現物1点ごとに詳細なデータの収集の実施はできなかったが、現在の江戸幕府旧蔵資料の概要を十分示すことができた。東京国立博物館の所蔵する漢籍、洋書については、これまで本格的な全体調査が行われていなかったが、今回、悉皆調査を行い、印記などを確認して、江戸幕府旧蔵資料と考えられるものをデータベースに収録した。東京国立博物館には、データに「伝来未詳」とされ、はっきりと江戸幕府旧蔵とは言えないまでも、その形態や特質から、江戸幕府に関係したであろうと推測できる資料もある。この点については今後の課題としたい。以上の研究によって、明治5年に湯島聖堂に集められた江戸幕府旧蔵資料の全貌を解明する手がかりができた。本研究報告書では、作成したデータベースや調査結果から、研究分担者・研究協力者が、江戸幕府旧蔵資料に関する個別研究も行った。しかし、本研究は江戸幕府旧蔵資料を明らかにする上での基礎的な作業であったといえる。今後は、江戸幕府旧蔵資料に関する各分野の個別研究を行う上で、本研究成果が基本的資料となると言えるであろう。
著者
丸山 士郎 島谷 弘幸 高橋 裕次 白井 克也 鬼頭 智美 木下 史青 伊藤 嘉章
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

東京国立博物館は日本で最も古い博物館であり、1950年に文化財保護法が施行されるまでは、文化財行政の中心的な役割を果たしてきた。東京国立博物館が保管する歴史的な文書は、日本の博物館の歴史を知る上で欠くことのできない資料であるとともに、戦前までの文化財行政を知る上でも重要な資料である。この研究では、それらの資料を分析し、東京国立博物館が果たしてきた歴史的役割について解明した。
著者
澤田 むつ代 高橋 裕次 丸山 士郎 浅見 龍介 西山 厚
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

東京国立博物館が所蔵する「正倉院頒布裂」を中心に、正倉院関係の「裂帖」、模写と模織、さらに正倉院関連資料について、研究成果報告書を制作した。これには各作品の名称、素材、技法、用途等の基本情報に加え、織物では文丈、〓間幅を、染物にあっては文様一単位の寸法も付して作品本体を立体的、かつ詳細に掲示した。各作品については、染織品の微妙な色合いを重視して、カラーで掲載した。これらの公開は今後の正倉院裂研究には欠かせぬものとなる。