- 著者
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江口 和洋
久保 浩洋
- 出版者
- Yamashina Institute for Ornitology
- 雑誌
- 山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.1, pp.32-39, 1992-03-30 (Released:2008-11-10)
- 参考文献数
- 18
- 被引用文献数
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6
5
1.史料に基づき,日本におけるカササギの生息の起源について検討した。2.16世紀以前の史料にはカササギに関した具体的な記述はほとんどなく,17世紀以降の史料にはカササギの生息地,生息地域における呼称,習性などの記述が見られる。3.17世紀以降の江戸時代には,カササギは福岡,佐賀両県の有明海沿岸(旧柳川,佐嘉藩領内)で多く目撃されている。4.17世紀前半には,カササギが朝鮮半島より人為的に渡来したとの認識が広まっていた。5.佐嘉藩ではカササギをもたらした人物の名が記録されている。6.佐嘉藩ではカササギは捕獲禁止の対象となり,17世紀に禁止令が何度か発令された。7.史料検討の結果,カササギは17世紀以降に朝鮮半島より旧柳川,佐嘉藩領内へ移植され,藩主の保護策により個体数を増加させたと,推測される。