著者
伊澤 雅子 土肥 昭夫 小野 勇一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.373-382, 1982-09-30
被引用文献数
3

IZAWA, Masako, DOI, Teruo & ONO, Yuiti (Dep. Biol., Fac. Sci., Kyushu Univ.). 1982. Grouping patterns of feral cats (Felis catus) living on a small island in Japan. Jap. J. Ecol., 32 : 373-382. Range utilization and social relationship of feral cats (Felis catus) were investigated by direct observation and radio-tracking. The range structure of the feral cat in this study also resembled the pathnetwork systems described by HEDIGER. The range of cat was composed of three characteristic components such as a feeding site, resting sites and paths. Each cat used only one feeding site and did not switch it seasonally. The cats utilizing the same feeding site organized "feeding group". Synchronization of feeding activity and overlapping ranges of the members of the same feeding group were observed. These features of feeding group show the amicable relationship among the members. It was considered to result in the adaptation to clumped distribution of abundant food resource.
著者
馬場 稔 土肥 昭夫 小野 勇一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.189-198, 1982-06-30
被引用文献数
5

Home range and activity studies were carried out by radio-tracking and direct observation on nine giant flying squirrels. The radio-tagged animals utilized their home ranges heterogeneously, and heavily used areas corresponed with the patchy distribution of secondary forests which were the major food resources. Home ranges were considerably overlapped with one another especially at a shrine courtyard where nesting sites were clumped. Mature forest providing tree holes suitable for nesting appeared to be indispensable for their settlement. The range size varied from 0.46 to 5.16 ha. The shape and size of the range are considered to depend on the distributional pattern of food and nesting sites. Further, they occasionally shifted their heavily used areas, which suppsed to be caused by the local shifting of food availability. Their gliding ability directly connected patchily distributed resources by one or a few glidings. Thus, their heterogeneous utilization within their home ranges can be more easily investigated than any terrestrial mammals.
著者
小野 勇一 伊澤 雅子 岩本 俊孝 土肥 昭夫 NEWSOME Alan KIKKAWA Jiro
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

代表者らのグル-プは,森林に起源を持つといわれている食肉目の社会進化を明らかにするために、これまでネコ科、特に小型種について研究を進めてきた。特に小型ネコ科の社会形態とその維持機構を、様々な環境で野生化したイエネコの研究によって明らかにしてきた。すなわち、小型ネコ科の社会の適応性は生息環境の資源量と強い関連性を持つことが示唆された。この適応性についての試論は国内では野生種の小型ネコ、イリオモテヤマネコとツシマヤマネコの調査によって、すでに検討を始めている。ネコ科の社会進化を論ずる上で、イエネコの人間社会と完全に隔離された自然状態での社会形態と、その起源種である野生種の小型ネコの社会形態と比較することは重要なポイントとなる。しかしながら、わが国において野生化したイエネコの生息域とその中の資源量は、ほとんどの地域で人間生活との関連が深く、完全に自然状態で野生化したイエネコの生息域はない。本研究では、オ-ストラリア大陸内部に人間社会の影響がほとんどない地域で野生化したイエネコを対象にして、その社会生態と環境資源利用の調査を実施した。オ-ストラリアには西洋人の入植以来200年間にイエネコが野生化し、現在では大陸のほとんどの地域に分布している。人間生活の影響をまったく受けない森林地帯・半乾燥地帯・砂漠などに生息している野生化したイエネコは、その始原種であるヤマネコと同様に、ハンティング(狩り)によって生活をしている。一方、この野生化したイエネコは、オ-ストラリア固有の貴重な動物相に重要な影響を及ぼしている。これらの固有種の保護のために、野生化したイエネコの生態学的調査も本研究の重要な課題のひとつである。調査は、ニュ-サウスウェルズ州のヤソン自然保護区で行った。この保護区内に調査地を設け、1988年と1989年の2年間に約12ヶ月間滞在して資料を収集した。調査地内のネコの大部分を補獲し、発信機あるいは耳環を装着して個体識別し、テレメトリ-法と直接観察によって行動が追跡された。この地域の野生化したイエネコは、年中ほとんどの餌を野生化したアナウサギに依存していることが明らかになった。このことから、2年目にはアナウサギの生態学的調査も行った。調査の結果は、完全な自然条件のもとで野生化したイエネコの社会形態の基本型は、小型ネコの野生種とほとんど変わらないこと、また生息地の資源量がその基本型の変異に強い影響を持つことが明らかとなり、研究グル-プの試論が証明される大きな成果が得られた。2年間に渡る継続した資料が得られたことから、調査地内のネコの定住性と分散過程の資料が得られ、哺乳類に頻繁に見られる「雄に偏よった分散」を実証でき、またその分散の要因が、定住雄の繁殖活動によることが観察によって明らかにされた。さらに分散が確められた個体の分散過程の資料も得られた。これらの結果は、ネコ科の社会形態の維持機構解明に重要な手がかりを与えるものである。次にこの地域の野生化したイエネコは年間の餌の大部分をアナウサギに依存していることから、単純な食う=食われる関係のもとに成り立っていた。このことからネコのホ-ムレンジの大きさは、餌資源の季節的な変化に対応して決定されること、またネコの繁殖も餌の利用しやすい時期と同調していることを用いて、食う=食われる関係のシュミレ-ションモデルが導かれた。また、保護区の鳥類相の調査も平行して行い、ネコによる被食の程度は、主な餌であるアナウサギの個体数が最も少なくなる厳冬季にはかなりの程度補食されていることが明かとなった。このことから、小型哺乳類の生息が少ない地域や季節には、野生化したネコのオ-ストラリア固有動相への影響は大きいことが示唆された。本研究で得られた研究結果は各分担者ごとにサブテ-マごとに論文として公表され、また全体的には報告書の形でまとめられた。この研究成果は、特にオ-ストラリアでこれまで大きな問題となっていた野生化したイエネコについて多くの新しい知見を与えるもので野生動物保護管理のうえで貢献するものと期待される。
著者
伊沢 雅子 小野 勇一 土肥 昭夫
出版者
裳華房
雑誌
遺伝 (ISSN:03870022)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.p54-59, 1986-08
被引用文献数
1
著者
小野勇一著
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
1995
著者
小野勇一著
出版者
共立出版
巻号頁・発行日
1972
著者
小野 勇一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, 1997-08-25
著者
佐藤 眞一 倉本 満 小野 勇一
出版者
The Herpetological Society of Japan
雑誌
爬虫両棲類学雑誌 (ISSN:02853191)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.119-125, 1994

九州の21地点から採集したブチサンショウウオ108個体の斑紋と体の大きさを比較した結果,地理的に隔てられた3型が区別された.九州北部に分布する北九州型は頭胴の背面に白斑をもたない.大分の中九州型と祖母山地以南の南九州型では白斑がよく発達しているが,前者は大形,後者は小形である.北九州型は中九州型に比して相対的に四肢が短く頭幅は大きい.これらの3タイプは系統的に異なり,九州の地史と関連して分化したものと考えられる.
著者
池田 啓 江口 和洋 小野 勇一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-48, 1979-03-30
被引用文献数
10

Pattern of habitat utilization, home range and food habits of a raccoon dog are studied in a small islet, Takashima, western Kyushu. The home range and the number of individuals in the area are established by means of a bait-marking method which is a new technique developed in this study taking notice of the peculiar behaviour or the raccoon dog to defecate its feces daily on a definite fecal pile site. The size of home range estimated by the method ranged from 1.1 to 4.3 ha (2.8 ha av.) and the total number of individuals in this islet was 8.6-16.1,0.46-0.86 per ha in density. The individual home ranges overlapped closely to each in four seasons. The small population size and high population density in this islet are explained by the confined circumstances of habitat in the one hand and by the specific modes of life of the raccoon dog, that they can live together in a small area with cooperative utilization of the habitat on the other.