著者
久保 隆文 荻田 信二郎 笹本 浜子 川合 伸也 荻田 信仁郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、(1)アカマツ(Pinus densiflora)の不定胚形成細胞(ECs)誘導および不定胚形成、(2)スギ(Cryptomeria japonica)の不定胚形成とその制御要因、(3)プロトプラスト化、細胞融合による体細胞雑種作出と植物体再生系、(4)FLORICAULA/LEAFY遺伝子と相同性を持つスギ由来のCjNdly遺伝子の単離と解析、について検討し、多くの成果を得ることができた。(1)未成熟胚から誘導されたアカマツのECsの継代には、1250mg/l濃度のL-glutamine及び1000mg/lのPVPを添加したmDCR培地が、不定胚の形成には30μMのABA、6%のマルトース、及び10%のPEG8000を添加したmDCR培地が効果的であった。(2)カラマツ、エゾマツ、スギ培養細胞の組織形態観察と内生アミノ酸のHPLC定量により、各培養細胞特異性が分かった。この結果を受けて外生アミノ酸を適宜改変することにより、難培養スギにおいて不定胚からの植物体再生系が確立できた。すなわち、内生アミノ酸量をモニターすることで細胞の分化特性解析・評価および、高分化性細胞の早期選抜ができると結論した。(3)微小培養シャーレを用いたプロトプラストアッセイ手法によってカラマツ、スギのプロトプラストの単離・最適培養条件が早期に検索できた。また、プロトプラスト中の微量内生植物ホルモン量を定量することによって培養条件検索の効率化が可能になった。さらに、針葉樹プロトプラストの融合可能、カロース特殊繊維の形成条件を明らかになった。(4)花芽分化に関与する転写因子をコードする遺伝子族FLORICAULA/LEAFY familyと相同性を有するスギ(Cryptomeria japonica D, Don)の遺伝子CjNdlyの単離と解析を行い、CjNdlyは被子植物においてFLORICAULA/LEAFY familyが花芽分化に重要な役割を果たすのと同様な機能を裸子植物であるスギにおいても果たしていると推察した。
著者
佐藤 敬一 内山 厚 伊豆田 猛 三輪 誠 渡辺 直明 久保 隆文 伏谷 賢美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.94, no.155, pp.61-67, 1994-07-20

酸性雨が土壌酸性を引き起こし樹木に水ストレスを与えていることを考慮し、酸性土壌に植えたスギの2年生苗木について12週間にわたりAEを測定し、発生したAE特性について検討した。その結果、夜や曇り、雨などの日射量のないときはAEが検出されなかった。健全な対照区の苗木では、AEは日照開始時に集中しており、蒸散流の開始によるキャビテイションにともなって発生していることが分かった。また、水ストレスを受けている植え替え直後や酸性区の苗木では、AE発生の日照開始時の集中度は低く、日射がある時間帯ははんべんなくAEが発生した。