著者
山本 敏博 井野 慎吾 久野 正博 阪地 英男 檜山 義明 岸田 達 石田 行正
出版者
水産総合研究センター
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-29, 2007 (Released:2011-12-19)

ブリSeriola quinqueradiataは日本各地で定置網、巻き網などの重要な漁獲対象になっており、漁況予報の精度向上、適正な資源管理が求められている。本稿ではブリの産卵生態、回遊生態についてレビューを行い、併せて上記の要望に応えるためにはどのような研究をどのような手法で遂行するのが適当であるか検討を行った。ブリの産卵生態は、卵仔稚魚調査を中心とした既往知見の整理の他に、仔稚魚の成長、親魚の成熟状況から見た産卵生態についてまとめを行った。回遊については成長段階によって様式が異なり成魚では大規模な南北回遊がみられること、越冬域をはじめとする分布域は海洋環境に依存していると考えられた。漁況予報の精度向上のためには回遊と環境の関係を解明することが必要と考えられ、その研究を遂行するための手法についても検討を行った。
著者
高橋 鉄哉 藤原 建紀 久野 正博 杉山 陽一
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.265-271, 2000-09-05
被引用文献数
11

1985-1992年に三重県が行った浅海定線調査のデータおよび京都大学が1997年9月2日に行った調査のデータを用いて, 伊勢湾において外洋系水が湾内へ進入する深度の季節変動を調べ, 湾内に形成される貧酸素水塊との関係を調べた。その結果, 外洋系水は, 4月から10月には中層より進入し, それ以外の季節には底層より進入すると推測された。外洋系水の進入深度の季節変動は, 湾内水と外洋系水の密度の季節変動が異なることによる。この進入深度の季節変動が, 貧酸素水塊の消長に寄与する可能性がある。