著者
土屋 隆司 杉山 陽一 山内 香奈 藤浪 浩平 有澤理一郎 中川 剛志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.868-880, 2008-02-15
被引用文献数
1

列車運行に支障が生じた場合には,利用者に的確な案内情報を迅速に提供することが求められる.我々は,ダイヤ乱れ時における各目的駅までの推定所要時間に基づいて各駅別に迂回の適否(運転再開を待つべきか,目的地への迂回経路をとるべきか)を判定し,利用者に案内するシステムを開発した.システムの開発にあたり,輸送障害が発生した線区における駅間所要時分の変化を見積もるモデルを考案し,これをダイヤ乱れ時の最短経路計算に応用した.また,システムの開発と並行して実施したダイヤ乱れ時における利用者行動調査の結果に基づいて,システムの要件やその運用のあり方を整理した.開発したシステムを用いて,実際のダイヤ乱れ時において,一般利用者を対象とした実証実験を実施した結果,提示された案内情報に従って移動した利用者の約65%が案内どおり,または案内よりも早めに目的地に到着することができた.システムの有用性については総じて高い評価が得られた.また,不確実性を含む予測情報であっても一定の確度があれば利用者に十分受容されることも確認した.When train operations are disrupted, it is important to provide passengers with information facilitating the rest of their journey. We developed a guidance system for users to determine whether they should wait for service to resume on the disrupted line, or take a detour route to their destination. Our system arrives at decisions after computing estimated travel times to specific stations in the area where train services are disrupted. We devised a model for estimating the amount of time required to travel between stations in the disrupted area. We have carried out a field test in which users use their cell phones to access the system and learn their route options during a disruption in train services. The result of the test has revealed that this system is effective 窶髏 for example, we have found that approximately 65% of all users taking the advice arrive at their destination at the same time as, or earlier than, the time estimated by the system and approximately 80% of them evaluated the system as useful. We conclude that even though the information represents only possible scenarios, and the degree of certainty is not 100%, it can be accepted and effectively utilized by passengers.
著者
小塚 良允 田村 博昭 清水 保 長谷川 美知子 田中 熟 日高 敏男 鳥浜 慶熈 杉山 陽一 石井 奏
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.684-686, 1975

近年における抗生物質の開発進歩には目覚しいものがあり, 各種感染症に対してあるいは汚染手術の術後感染予防に対して著明な効果を期待できるまでに至つている。しかし, その投与方法に関しては, 未だに慣用的な要素が多く, 今後の研究の余地が残されている。抗生物質の本来の効果を期待するには, 薬剤の濃度と起炎菌の感受性との関係を解明した上での正しい投与法をおこなう必要がある。<BR>産婦人科領域における術後感染症として最も重要なのは, 子宮頸癌-広汎子宮全摘除術における骨盤死腔炎である。私どもは, この種の手術にさいして, 子宮全摘除後の骨盤死腔内に, Sodium cophalothin (商品名, ケプリン, 以下CETと略す) の粉末29を散布し, 術後骨盤死腔炎の予防効果を挙げている。今回, CET2g骨盤死腔内投与後の血中濃度を測定し, 術後の抗生物質の投与方法について検討する機会を得たのでその成績を報告する。
著者
高橋 鉄哉 藤原 建紀 久野 正博 杉山 陽一
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.265-271, 2000-09-05
被引用文献数
11

1985-1992年に三重県が行った浅海定線調査のデータおよび京都大学が1997年9月2日に行った調査のデータを用いて, 伊勢湾において外洋系水が湾内へ進入する深度の季節変動を調べ, 湾内に形成される貧酸素水塊との関係を調べた。その結果, 外洋系水は, 4月から10月には中層より進入し, それ以外の季節には底層より進入すると推測された。外洋系水の進入深度の季節変動は, 湾内水と外洋系水の密度の季節変動が異なることによる。この進入深度の季節変動が, 貧酸素水塊の消長に寄与する可能性がある。