著者
古川 晶子 森川 秋月 早川 峰司 澤村 淳 松田 直之 石川 岳彦 亀上 隆 丸藤 哲
出版者
日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.219-222, 2005-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16

横紋筋融解症は薬物中毒,外傷,電解質異常,神経筋疾患などさまざまな原因により惹起される。今回,我々は水中毒による希釈性低ナトリウム血症とその補正過程で横紋筋融解症を発症した症例を経験した。水中毒による横紋筋融解症の発症は少なく,今回の症例では,低ナトリウム血症とその補正に伴う急激な血清浸透圧上昇が相加的に作用して横紋筋融解症を来した可能性が示唆された。
著者
亀上 隆 丸藤 哲 五十嵐 みゆき 牧瀬 博 松原 泉
出版者
The Japanese Society of Intensive Care Medicine
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.215-219, 1997-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15

コルヒチンの大量服用により多臓器不全に陥り,不幸な転帰をとった1症例を経験した。患者は16歳,女性。コルヒチン約1gを内服し,32時間後に当科搬入となった。初診時より代謝性アシドーシス,低酸素血症,肝腎障害をおよび播種性血管内凝固症候群がみられた。ICU入室後,酸素吸入,塩酸ドパミン投与を行ったが乏尿が改善しないため,8時間後に持続濾過透析を施行した。しかし,26時間後,全身痙攣発作を契機に循環動態も不安定となった。28時間後には心停止に陥り,3時間にわたる蘇生術にも反応せず永眠した。大量コルヒチン中毒の症状は激烈でその救命は非常に困難と考えられた。
著者
丸藤 哲 亀上 隆 澤村 淳 早川 峰司 星野 弘勝 大城 あき子 久保田 信彦
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.9, pp.629-644, 2006-09-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
47
被引用文献数
7 7

外傷後にみられる血液凝固線溶系の変化とその制御方法に関する新知見を概説した。外傷後の凝固線溶系の変化は,止血・創傷治癒のための生理的凝固線溶反応と多臓器不全(multiple organ dysfunction syndrome; MODS)を惹起して症例を死に導く病的凝固線溶反応である播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation; DIC)に分類される。最近外傷後DICの病型に新しい概念が導入され(controlled overt DIC and uncontrolled overt DIC),その凝固線溶系反応の経時的推移も線溶亢進期と線溶抑制期に分類して論じられるようになった。外傷後凝固線溶系反応は低体温,重症代謝性アシドーシス,希釈等の影響を受けて重篤化し出血傾向が出現するために,これらの修飾因子発現予防が症例の予後改善のために必要である。もう一つの重要な予後規定因子であるDICでは炎症性サイトカインが高値となり全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome; SIRS)が持続するが,このDICと遷延性SIRSが相乗的に作用して虚血性微小循環障害と炎症性微小循環障害からMODSを引き起こす。外傷後凝固線溶系の制御は,MODS発症予防と大量出血の止血を目的として行われる。前者は凝固炎症反応連関の考え方に基づいたDIC/遷延性SIRSの予防と治療が主体となり,後者においては最近の外傷後凝固線溶系反応の病態生理解明の新知見に基づいた大規模ランダム化比較試験の実施や遺伝子組み換え活性化第VII因子製剤の臨床応用等が話題となっている。