著者
國井 美紗子 中橋 秀文 大場 ちひろ 亀田 知明 土井 宏 釘本 千春 馬場 泰尚 鈴木 ゆめ 黒岩 義之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.7, pp.1656-1658, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
3

先行感染を伴い,両側側頭葉に出血を伴う髄膜脳炎を呈し,同時に脊髄病変を認めた急性散在性脳脊髄炎(acute disseminated encephalomyelitis,ADEM)の男性例.出血を伴う激症型ADEMでは予後不良であることが知られているが,本例は発症早期よりステロイド治療を行い良好な経過をとった稀なケースであると考えられる.
著者
中瀬 泰然 小倉 直子 前田 哲也 山崎 貴史 亀田 知明 佐藤 雄一 長田 乾
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.557-561, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1

目的:視床梗塞において臨床症状と血管支配を含めた解剖学的構築との関連については様々な報告がある.本研究では急性期両側視床梗塞を呈した連続症例を検討し,臨床像および予後規定因子について解析した. 方法:2001年4月∼2005年3月に入院した脳梗塞症例のうち,入院時MRIおよびMRAにて病巣と血管病変を同定し得た両側視床梗塞9例を対象とした.予後は退院時mRSにて判定した. 結果:予後良好例(mRS 0∼2)5例,不良例(mRS 4以上)4例であった.予後良好例で記銘力低下,失見当識,過眠傾向などの精神症状が認められ,予後不良例では四肢麻痺,動眼神経麻痺,球麻痺が認められた.予後不良例の特徴として,脳幹・小脳梗塞の合併,発症時高齢(72.0±15.3歳vs 58.2±11.9歳)と,脳底動脈閉塞が観察された. 結論:高齢発症,脳底動脈閉塞の有無が予後規定因子となりうることが示唆された.
著者
山崎 貴史 中瀬 泰然 小倉 直子 亀田 知明 前田 哲也 佐藤 雄一 高野 大樹 鈴木 明文 長田 乾
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.502-507, 2007-07-25 (Released:2009-02-06)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

急性期延髄梗塞連続114例を対象に臨床症状と画像所見との関連性を解析した. MRI所見は, 内側梗塞 (MMI) と外側梗塞 (LMI) に分類し, 発症年齢はMMI (68.3歳) がLMI (63.1歳) より有意に高齢であった. MMIはさらに錐体限局型と広範囲型に, LMIは背側型, 前腹側型, 後腹側型, 汎腹側型, 前外側型に分類した. MMIでは広範囲型が77.4%, LMIでは後腹側型が45.8%, 背側型が28.8%であった. MMIでは病巣分布にかかわらず顔を除く健側半身の感覚障害が49.1%, LMIの後腹側型で病側顔面と健側半身の感覚障害が55.6%にみられた. MMIは上部病変が66%, LMIは中部病変が66%であった. 上部病変では顔面麻痺, 中部病変で吃逆が高頻度に認められ, 入院時のMRIで偽陰性が有意に多かったことから, 急性発症の顔面麻痺や吃逆を伴う半身の感覚障害を呈するときには延髄梗塞が強く疑われる.
著者
亀田 知明 土井 宏 川本 裕子 城村 裕司 高橋 竜哉 児矢野 繁 鈴木 ゆめ 黒岩 義之
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.351-356, 2010-07-25 (Released:2010-09-14)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

脊髄梗塞の臨床像および予後について検討した.対象は1997年4月から2008年9月までに横浜市立大学附属2病院神経内科に入院した急性期脊髄梗塞患者14例である.発症年齢は中央値63歳,範囲は22から74歳,男7例,女7例であった.心血管疾患危険因子は高血圧6例,糖尿病5例,喫煙4例,心房細動0例,心血管疾患の既往2例で,6例ではいずれの危険因子も認めなかった.病変部位は,頸髄3例,頸胸髄3例,胸髄5例,胸腰髄が3例で,4椎体以上にわたる病変を7例で認めた.臨床像を分類すると前脊髄動脈症候群が11例,Brown-S quard症候群が1例,横断性梗塞が2例だった.初発症状は痛みが8例,脱力が4例,痺れが2例で,10例では24時間以内に症状がピークに達した.治療についてはステロイドが6例,抗血小板薬が5例,抗凝固薬が10例,7例ではこれらの治療を併用した.退院時に歩行が可能であったのは6例で,感覚障害は全例で残存した.排尿障害によって導尿あるいは膀胱バルーンカテーテルが留置されていた例は9例であった.女性,長軸方向に長い病変,横断性梗塞,脱力で発症した例では予後が悪い傾向がみられた.