著者
山崎 貴史
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.85-100, 2013-03-20 (Released:2016-08-04)
参考文献数
14

1990年代以降、わが国における日雇労働市場の縮小は、多くの失業者を生み出し、都市の公共空間で居住する野宿者が急増した。駅舎・公園・道路などに起居した野宿者は、90年代から絶えずクリアランスの対象となってきた。そして、そのいくつかにはスポーツが大きく関連している。たとえば、2010年の宮下公園、2012年の竪川河川敷公園では、スポーツ施設の設置によって、野宿者の強制撤去が行われた。では、なぜ野宿者の排除にスポーツが用いられるのだろうか。そして、公園におけるスポーツ施設の設置はそこで暮らす野宿者にとって、どのような問題を孕んでいるのだろうか。 事例としたのは、1997年と2004年に〈ホームレス〉対策としてスポーツ施設が設置された若宮大通公園である。この公園では、〈ホームレス〉対策として、スポーツ施設が設置されていった一方で、公園内で野宿者は居住を続け、ゲートボール場では炊き出しが行われている。本稿の事例からあきらかになったのは、第一に、スポーツ施設は公園内のオープンスペースを「スポーツする場所」に利用を限定することで、野宿者にとって、居住地を制限するものとして立ち現れる点である。 第二に、野宿者と支援者はスポーツ施設による居住や活動の制限を受けながらも、スポーツ施設を利用して居住し、スポーツ施設を居住地や「野宿者支援の場所」として意味づけしなおしていた点である。 このことから、最後に公園といった公共空間にスポーツ施設が設置されることの是非は、そこをどのように管理するかではなく、どのように利用されているかという視点から捉える必要性を指摘した。
著者
中瀬 泰然 小倉 直子 前田 哲也 山崎 貴史 亀田 知明 佐藤 雄一 長田 乾
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.557-561, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1

目的:視床梗塞において臨床症状と血管支配を含めた解剖学的構築との関連については様々な報告がある.本研究では急性期両側視床梗塞を呈した連続症例を検討し,臨床像および予後規定因子について解析した. 方法:2001年4月∼2005年3月に入院した脳梗塞症例のうち,入院時MRIおよびMRAにて病巣と血管病変を同定し得た両側視床梗塞9例を対象とした.予後は退院時mRSにて判定した. 結果:予後良好例(mRS 0∼2)5例,不良例(mRS 4以上)4例であった.予後良好例で記銘力低下,失見当識,過眠傾向などの精神症状が認められ,予後不良例では四肢麻痺,動眼神経麻痺,球麻痺が認められた.予後不良例の特徴として,脳幹・小脳梗塞の合併,発症時高齢(72.0±15.3歳vs 58.2±11.9歳)と,脳底動脈閉塞が観察された. 結論:高齢発症,脳底動脈閉塞の有無が予後規定因子となりうることが示唆された.
著者
山崎 貴史 松岡 常吉 横山 博史 中村 祐二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.86, no.889, pp.20-00210, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

The effects of the traveling sound wave generated by the speaker on diffusion flame were investigated experimentally. The sound frequency was varied from 50 to 1000 Hz using two sizes of loudspeakers, whose peak frequency showing the maximum sound pressure amplitude is nearly identical. A spirit lamp was used as the reference (diffusion) flame. Having irradiation of sound, the flame was inclined and stretched toward the traveling direction under specific range of the exposed frequencies and importantly, the effective range of the frequency was found to be quite different in two speakers used in this study. Precisely speaking, the deformed flame length reached its maximum value under the condition of 200 to 400 Hz for small speaker and 50 to 200 Hz for large speaker, respectively. In addition, the velocity distribution around the speaker was measured to reveal that the variation of flame length with respect to frequency, and it was found that the response against the applied frequency was rather close to that of flow velocity, not that of the acoustic pressure amplitude. Further investigation of flow field nearby the speaker clearly showed that the pump-like flow acceleration was induced by the periodic motion of the membrane of the speaker. From the above results obtained, it was confirmed that the effect of acoustic sound on the flame shall be come not only from pure acoustic wave feature but also from the factors depending on the hardware. Without the eliminating the latter effect, nature of acoustic-flame interaction behavior by using acoustic characters (e.g., frequency or acoustic pressure) is not readily available.
著者
山崎 貴史
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.85-100, 2013

1990年代以降、わが国における日雇労働市場の縮小は、多くの失業者を生み出し、都市の公共空間で居住する野宿者が急増した。駅舎・公園・道路などに起居した野宿者は、90年代から絶えずクリアランスの対象となってきた。そして、そのいくつかにはスポーツが大きく関連している。たとえば、2010年の宮下公園、2012年の竪川河川敷公園では、スポーツ施設の設置によって、野宿者の強制撤去が行われた。では、なぜ野宿者の排除にスポーツが用いられるのだろうか。そして、公園におけるスポーツ施設の設置はそこで暮らす野宿者にとって、どのような問題を孕んでいるのだろうか。<br> 事例としたのは、1997年と2004年に〈ホームレス〉対策としてスポーツ施設が設置された若宮大通公園である。この公園では、〈ホームレス〉対策として、スポーツ施設が設置されていった一方で、公園内で野宿者は居住を続け、ゲートボール場では炊き出しが行われている。本稿の事例からあきらかになったのは、第一に、スポーツ施設は公園内のオープンスペースを「スポーツする場所」に利用を限定することで、野宿者にとって、居住地を制限するものとして立ち現れる点である。 第二に、野宿者と支援者はスポーツ施設による居住や活動の制限を受けながらも、スポーツ施設を利用して居住し、スポーツ施設を居住地や「野宿者支援の場所」として意味づけしなおしていた点である。<br> このことから、最後に公園といった公共空間にスポーツ施設が設置されることの是非は、そこをどのように管理するかではなく、どのように利用されているかという視点から捉える必要性を指摘した。
著者
山崎 貴史 中瀬 泰然 小倉 直子 亀田 知明 前田 哲也 佐藤 雄一 高野 大樹 鈴木 明文 長田 乾
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.502-507, 2007-07-25 (Released:2009-02-06)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

急性期延髄梗塞連続114例を対象に臨床症状と画像所見との関連性を解析した. MRI所見は, 内側梗塞 (MMI) と外側梗塞 (LMI) に分類し, 発症年齢はMMI (68.3歳) がLMI (63.1歳) より有意に高齢であった. MMIはさらに錐体限局型と広範囲型に, LMIは背側型, 前腹側型, 後腹側型, 汎腹側型, 前外側型に分類した. MMIでは広範囲型が77.4%, LMIでは後腹側型が45.8%, 背側型が28.8%であった. MMIでは病巣分布にかかわらず顔を除く健側半身の感覚障害が49.1%, LMIの後腹側型で病側顔面と健側半身の感覚障害が55.6%にみられた. MMIは上部病変が66%, LMIは中部病変が66%であった. 上部病変では顔面麻痺, 中部病変で吃逆が高頻度に認められ, 入院時のMRIで偽陰性が有意に多かったことから, 急性発症の顔面麻痺や吃逆を伴う半身の感覚障害を呈するときには延髄梗塞が強く疑われる.