著者
亀谷 富夫 森田 達志 田中 功 越田 英夫 五十嵐 豊 堀上 健幸 永井 忠之 加藤 正義
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.41-44, 1994

症例は56歳の男性。1975年頃よりアルコール依存症 (酒1升/日) 有り。1978年より糖尿病を指摘され, 1985年よりインスリン治療を受けたがHbA<SUB>1c</SUB>は9.2~12.8%とコントロール不良であった。1990年11月までに6回の低血糖昏睡をおこした。内因性インスリン分泌は著明に低下し, 糖尿病3徴を認めた。はっきりとした歩行障害, 痴呆, 尿失禁は認めなかったが, 頭部CTスキャンとMRIでは脳萎縮を伴わない著明な脳室拡大を認めた。しかし脳脊髄圧は正常であった。RI cisternographyにて48時間後にも脳室内停留を認めたことより, 特発性正常圧水頭症と診断された。本邦での報告例はなく, 低血糖と正常圧水頭症との関連性を示唆する興味深い症例と思われた。
著者
亀谷 富夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.683-686, 2001-08-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
16

耐糖能異常, 肥満, 高トリグリセリド血症は独立した高血圧の危険因子かどうかを検討した. 1990年より1999年まで当院検診センターを受診し初診時に高血圧を認めず経過観察できた6305名を対象とし高血圧発症頻度を検討した. 肥満, 耐糖能異常, 高TG血症の高血圧発症ハザード比はそれぞれ1.414 (9596信頼区間1. 248-1.600), 1.570 (1.131-2.179), 1.245 (1.085-1.430) であった. 年齢空腹時血糖値BMI値はそれぞれ補正を行っても高血圧発症ハザード比はそれぞれ1.044 (1.038-1.050), 1.005 (1.001-1.008), 1.059 (1.038-1.080) と有意であった. しかし血清TG値は有意ではなかった. 年齢, 耐糖能異常, 肥満は独立した高血圧の危険因子と考えられたが, 高トリグリセリド血症は独立した高血圧の危険因子ではなく肥満による二次的な因子と考えられた.