著者
佐鹿 万里子 森田 達志 的場 洋平 岡本 実 谷山 弘行 猪熊 壽 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 = Japanese journal of zoo and wildlife medicine (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.125-128, 2009-10

An immature male raccoon (Procyon loter) with severe mange was captured at Kita-Hiroshima City, Hokkaido, Japan, on February 2005. The severe alopecia and crusting lesion were found on dorsal side of the raccoon, and mites obtained from the lesion were identified as Sarcoptes scabiei by both morphological and molecular biological methods (2nd internal transcribed spacer: ITS-2). The present case is the first record of mange caused by S. scabiei from free ranging raccoons in Japan. 2005年2月,北海道北広島市にて腰部から尾部にかけ著しい脱毛と痂皮を形成したアライグマProcyon lotor雄幼獣一個体が捕獲され,当該病変部から多数の小型ダニ類が検出された。形態および 2nd internal transcribed spacer (ITS-2)の塩基配列から,これらのダニ類はSarcoptes scabieiと同定された。本症例は日本産アライグマのS. scabieiによる疥癬の初報告となった。
著者
亀谷 富夫 森田 達志 田中 功 越田 英夫 五十嵐 豊 堀上 健幸 永井 忠之 加藤 正義
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.41-44, 1994

症例は56歳の男性。1975年頃よりアルコール依存症 (酒1升/日) 有り。1978年より糖尿病を指摘され, 1985年よりインスリン治療を受けたがHbA<SUB>1c</SUB>は9.2~12.8%とコントロール不良であった。1990年11月までに6回の低血糖昏睡をおこした。内因性インスリン分泌は著明に低下し, 糖尿病3徴を認めた。はっきりとした歩行障害, 痴呆, 尿失禁は認めなかったが, 頭部CTスキャンとMRIでは脳萎縮を伴わない著明な脳室拡大を認めた。しかし脳脊髄圧は正常であった。RI cisternographyにて48時間後にも脳室内停留を認めたことより, 特発性正常圧水頭症と診断された。本邦での報告例はなく, 低血糖と正常圧水頭症との関連性を示唆する興味深い症例と思われた。
著者
佐鹿 万里子 森田 達志 的場 洋平 岡本 実 谷山 弘行 猪熊 壽 浅川 満彦
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.125-128, 2009 (Released:2018-05-04)
参考文献数
16

2005年2月,北海道北広島市にて腰部から尾部にかけ著しい脱毛と痂皮を形成したアライグマProcyon lotor雄幼獣一個体が捕獲され,当該病変部から多数の小型ダニ類が検出された。形態および2nd internal transcribed spacer(ITS-2)の塩基配列から,これらのダニ類はSarcoptes scabieiと同定された。本症例は日本産アライグマのS.scabieiによる疥癬の初報告となった。
著者
三浦 春水 金本 東学 森田 達志 柵木 利明
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.701-705, 2001-09-20
参考文献数
9
被引用文献数
2

両後肢不全麻痺を呈する猫が来院後, 時間経過とともに後弓反張を呈し, 昏睡状態に陥った.血液検査, ウイルス検査, X線検査, CT検査などの各種検査および対症療法を実施したが, 原因不明のまま死亡した.剖検において, 脳底部に長さ13cmの虫体1隻, ならびに三尖弁の腱索に絡み付いた長さ9.5cmの虫体1隻が認められた.また, 病理組織検査において左側脳室から側頭葉を経て髄膜下にいたる虫道が確認された.検出された2隻の虫体は, ともに雄の犬糸状虫<I>Dirofilam immitis</I>であり, 総排泄腔より交接刺が突出していることから未成熟虫から成虫のステージの虫体であると同定された.以上ヒの所見より, 後弓反張を呈した神経症状は犬糸状虫の脳内迷入が原因であると考えられた.