著者
古川 智範 上野 伸哉 下山 修司 二階堂 義和
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、慢性的なベンゾジアゼピン系薬剤の使用によって認知機能が低下するメカニズムを探るため、ジアゼパム(DZP)長期投与マウスを用いて研究を行った。行動評価解析結果から、想起能力の低下がDZP長期投与した老齢マウスにおいて認められた。また、DZPを長期投与した老齢マウスでは、想起能力の低下や、CA1およびCA3領域におけるスパインの密度の減少が認められた。一方、海馬CA1領域におけるLTPやアポトーシス、細胞新生に対するDZP長期投与の影響は認められなかった。老齢マウスでは、DZP長期投与によりCA3領域のスパインが減少することで想起能力が低下する可能性が示唆された。
著者
上野 伸哉 古川 智範 二階堂 義和 下山 修司 柴 祐子 山田 順子
出版者
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2-4, pp.105-109, 2016 (Released:2021-06-01)
参考文献数
3

γ-aminobutyric acid (GABA)は成熟脳における主要な抑制性神経伝達物質であり,対応する受容体としてGABAA およびGABAB 受容体が存在する.GABAA受容体はGABA が結合することによりCl⁻イオンに選択性をもつイオンチャネルで,神経細胞膜電位の過分極をきたし,最終的に活動電位発生抑制をもたらす.このGABA 作動性の抑制機構はダイナミックに制御されていることが近年明らかとなってきた.この制御メカニズムを,①細胞内Cl⁻濃度制御,②GABAA 受容体サブユニット発現による制御,③受容体分布にかかわる受容体輸送(トラフィッキング)機構に焦点をあてて紹介する.
著者
工藤 隆司 木村 太 二階堂 義和 竹川 大貴 冨田 哲
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

うつ病は自殺、就労不能などの社会的損失が莫大であり、さらに3割が治療抵抗性を示すなど、非常に大きな問題となっている。近年、麻酔薬ケタミンのうつ病への効果が報告され、2019年5月よりアメリカ食品医薬品局でうつ病への使用が認可された。しかしその作用機序が不明であり、長期使用による有害事象が懸念されている。そこで、本研究ではケタミンの抗うつ作用を解明すべく、難治性うつ病患者へのケタミン投与前後のうつ病評価および作用機序に関連している可能性がある各種候補バイオマーカー測定、比較し、その結果からケタミンの抗うつ作用機序解明に迫る。