著者
川波 祥子 井上 仁郎 高橋 公子 堀江 正知
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.237-245, 2011-09-01 (Released:2017-04-11)

電話交換手がヘッドホンから曝露される音圧を, 人工耳および音響測定用マネキンを用いた2段階の方法で測定した. スクリーニングとして実施した人工耳による測定では, 非通話時間を含む8時間の等価音圧レベル(Leq)が81.5dB, 通話時間のみのLeqが89.3dBと高かった. そこで, より作業者のヘッドホン着用に近い状態で測定でき, 鼓膜付近での測定値を外耳道入口での音圧に換算可能なマネキンによる測定(ISO11904-2)を行ったところ, A特性による日本産業衛生学会の等価騒音レベル(LAeq)の許容基準と比較すると得られた修正LAeqは非通話時間を含む8時間で68.3dB, 通話時間だけでは76.6dBであり許容基準を下回った. 今回のような静かな作業場(51.3dBA)での通信業務では, 80dB未満の音声でも良好な信号雑音(S/N)比が得られ, 聴力への影響は小さいことが確かめられた. また, 通話相手の性別, 電話機の種類による曝露音圧の有意差はなかった.
著者
井上 仁郎
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.285-294, 1991-12-01

産業医学領域の従事者, 特に産業医が業務に必要な文献検索を行う場合, コンピュータ通信による文献検索が重要となる. 本研究では, この場合に発生する検索に係わる問題点を明確にするために, DIALOG On Disc ^TM MEDLINE^<【○!R】> の使用を通じて, 産業医学領域従事者にとって望ましい文献検索システムをアンケート調査で検討した. さらに, そのようなシステムを構築するにはどのような問題点があるが調査するために, 実際にプロトタイプ文献検索システムを構築し, 直面するハードウエア, ソフトウェアの現時点での問題点を明らかにした. 最後に, それらの問題点の解決策を検討した. その結果, 文献検索システムの構築に際しては, 1)ハードウエア面では, マイクロ・メインフレーム・リンク(MML)の考え方が必要であり, 2)ソフトウェア面では, 各国語が同時に使用できる国際統一フォントを導入し, 統一された優れたユーザインターフェイスを持つことが必要で, 3)システム活用面では, 講習会や情報教育を行い, 検索されたデータの活用等の幅広い個人の情報処理に対する支援を実施できる体制が必要であると結論付けられた.(1991年6月4日 受付,1991年10月7日 受理)