著者
鷹野 敦史 安留 道也 鈴木 修 井上 慎吾 藤井 秀樹
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.421-424, 2009 (Released:2009-08-05)
参考文献数
12

症例は42歳,女性.平成19年9月(月経2日目)に腹痛を主訴に当院を受診し,腹部CTで小腸の拡張と腫瘤性病変が認められ,腸閉塞の診断で入院となった.保存的治療施行後,入院8日目の腹部CTで腫瘤性病変は消失し腸閉塞の所見も認められないため一時退院となった.平成20年1月(月経2日目)に再び腸閉塞で再入院し,月経時に繰り返す腸閉塞とCTで認められる腫瘤性病変から異所性子宮内膜症が疑われた.MRIでも子宮内膜症を疑わせる腫瘤性病変が認められた.平成20年3月(月経3日目)に3度目の腸閉塞を発症し,開腹手術を行った.回腸末端に炎症性の癒着が存在し,小腸部分切除術を施行した.また5mm大の白色結節が口側腸管に散在していた.病理組織検査では子宮内膜症の診断であった.月経時に繰り返す腸閉塞と画像診断で術前より異所性子宮内膜症を疑った1例を経験したので報告する.
著者
中込 博 古屋 一茂 大森 征人 井上 慎吾 飯野 善一郎 依田 芳起 小林 正史 飯塚 恒
出版者
特定非営利活動法人 日本乳癌検診学会
雑誌
日本乳癌検診学会誌 (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.185-190, 2012-06-20 (Released:2014-12-05)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

過去の受診歴より継時的に腫瘤径の比較測定が可能であった30例(腫瘤21例,石灰化病変9例)の患者を対象に,腫瘍倍加時間(DT; doubling time)を算出した。検診の検出限界を5mmと考えたとき,腫瘍径5mmの病変が発見できず2年後の検診では2cmになる乳癌の腫瘍倍加時間は120日と計算される。120日より早いDTを持つ乳癌は2年毎の検診では転移を生じる病変になる可能性が高いと考え,その特性を組織型およびホルモンレセプター(HR),Her2発現によるsubtype別に検討した。120日以下のDTを示す病変は腫瘤性病変43%(9/21),石灰化病変44%(4/9)に認められた。Subtype別には,HR陰性Her2陰性の乳癌3例においてDT 60日前後と非常に速い増殖速度を示した。化生を伴う乳癌が2例含まれていた。HR陰性Her2陽性およびHR陽性Her2陽性の乳癌で,DTは112±10日,128±48日と早いことが認められた。HR陽性Her2陰性の乳癌19例において,DT 867±679日とばらつきが認められた。120日以下の症例は5例(26%)に認められ,粘液癌が3例,通常型乳癌が2例が含まれていた。HR陽性Her2陰性の乳癌において,検診の間隔は2年が妥当であるが,HR陰性Her2陰性およびHer2陽性の乳癌においては,さらに短期間での検診が必要と思われた。