著者
井上 真規 小河原 昇 田辺 輝彦 大石 公直 佃 守
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.533-537, 2011

昭和60年以降に当科で診断された若年型喉頭乳頭腫4例において臨床症状・喉頭所見・治療内容・治療経過・分娩方法・出生順位で検討を行った。全例に嗄声を認め腫瘤は喉頭に多発していた。LMS·CO<sub>2</sub>レーザー治療施行後も全例で喉頭に再発がみられたが数回のLMS·CO<sub>2</sub>レーザー治療で2例は治癒した。1例は転居のため経過は不明で1例は経過観察中である。本疾患の病因はHPV (human papilloma virus) の経産道感染といわれ,発症の危険因子として経膣分娩や第1子などがあげられる。当科での4例では全例経膣分娩で2例が第2子,他は第1子,第3子であった。若年性喉頭乳頭腫は多発性で再発を繰り返し治療に難渋することが多いが,再発を繰り返した症例において,短期集中のLMS·CO<sub>2</sub>レーザー治療が有効であると思われた。
著者
髙尾 なつみ 榎本 浩幸 木谷 有加 田中 恭子 井上 真規 小林 眞司 折舘 伸彦
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.123, no.5, pp.371-376, 2020-05-20 (Released:2020-06-05)
参考文献数
16

アデノイド切除術後の合併症として鼻咽腔閉鎖不全を来すことがあるが, 多くは保存的加療で消失する. 今回アデノイド切除術後に重度の開鼻声を生じ改善に外科的治療を要した一症例を経験した. 症例は5歳女児. 両側滲出性中耳炎, アデノイド増殖症に対し両側鼓膜チューブ留置術, アデノイド切除術を施行した.術後より聴力は改善したが, 開鼻声を来し発話明瞭度が低下した. 手術4カ月後から言語訓練を開始したが改善せず, 上咽頭ファイバースコピー, X 線所見より先天性鼻咽腔閉鎖不全症と診断し7歳9カ月で自家肋軟骨移植による咽頭後壁増量法を施行し症状は改善した. 術前予見可能性および発症後の対応について検討したので報告する.