著者
大森 瑛智 井上 真郷
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2012-GI-28, no.5, pp.1-6, 2012-07-06

Minesweeper は一人用のパズルゲームであり,プレイヤーが全ての情報を得られる訳ではないという,不完全情報ゲームである.つまり,地雷が設置されていないと分かる安全なマスが常に存在する訳ではなく,勝利できるか否かは運によるところが大きい.ルールが単純であり,多くの人に親しまれている一方,最適戦略,および達成可能な勝率の上限は未だに分かっていない.これは,地雷の有無を判断するのに,難しい場面では,地雷が設置されていたとして矛盾しない全パターンを列挙する必要がある,つまり NP 完全問題となっていることに由来する.我々は本研究で, 1) 二体探索法により,問題が簡単な場合に高速に安全なマスを発見する方法, 2) 地雷設置可能な全パターンを効率よく列挙し,地雷設置確率を算出する方法, および3) 安全なマスがなく,地雷設置確率が最小のマスが複数ある場合の選択方法,の三つを組み合わせた手法を開発したので提案する.本手法は,16×30 マス,地雷 99 個の標準ゲームで勝率 49.4% を達成できた.
著者
西谷 崇志 原 慎平 井上 真郷
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.27, pp.101-108, 2009-03-02

本研究ではダーツ01(301)ゲームを対象に研究を行った。ダーツゲームは状態遷移確率がプレイヤーのスキルに依存する不確定ゲームであるため、未だその戦略的側面についてはあまり詳しく研究されていない。本研究ではプレイヤーが狙った点からダーツが二次元正規分布に従って当たるとするモデルで解析を行った。また、01ゲームの状態遷移には様々な経路が存在する点に着目し、動的計画法を用いることでプレイヤーのスキルに応じて平均的に最も少ないラウンド数で終了条件を満たす戦略を得ることに成功した。また、対戦相手が前述の戦略をとるものと仮定した上での、勝率を最大化する戦略も求め、結果を得た。本手法はより一般的な501ゲームにも容易に適用可能である。We investigated the 301 darts game. The strategic aspects of this game have not been fully studied yet due to the complexity of its state transition equations depending on players' skills. In this research, we adopted a simple model of two-dimensional Gaussian distribution for the gap between targeted point and actual hit point. Then, we analyzed this game by using the dynamic programming techniques because it has numerous transition pathways. As the results, we successfully obtained the optimal strategy which minimizes the expected number of rounds needed to reach the goal. Besides, we also successfully obtained the optimal strategy which maximizes the probability of the winning assuming the opponent player adopting the above strategy. Our analysis method can be easily applied for more popular 501 darts game.
著者
大森 瑛智 井上 真郷
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.5, pp.1-6, 2012-07-06

Minesweeper は一人用のパズルゲームであり,プレイヤーが全ての情報を得られる訳ではないという,不完全情報ゲームである.つまり,地雷が設置されていないと分かる安全なマスが常に存在する訳ではなく,勝利できるか否かは運によるところが大きい.ルールが単純であり,多くの人に親しまれている一方,最適戦略,および達成可能な勝率の上限は未だに分かっていない.これは,地雷の有無を判断するのに,難しい場面では,地雷が設置されていたとして矛盾しない全パターンを列挙する必要がある,つまり NP 完全問題となっていることに由来する.我々は本研究で, 1) 二体探索法により,問題が簡単な場合に高速に安全なマスを発見する方法, 2) 地雷設置可能な全パターンを効率よく列挙し,地雷設置確率を算出する方法, および3) 安全なマスがなく,地雷設置確率が最小のマスが複数ある場合の選択方法,の三つを組み合わせた手法を開発したので提案する.本手法は,16×30 マス,地雷 99 個の標準ゲームで勝率 49.4% を達成できた.Minesweeper is a puzzle game of incomplete information for one person. In this game, mine-free squares are sometimes unknowable from open information, thus, winning is not always guaranteed. The rule of the game is quite simple and many people are familiar with this game. On the other hand, the optimal strategy and the upper limit of the winning rate are not known so far. This is because this game needs the complete enumeration of all possible mine-filled square patterns in some difficult situations, which implies this game is NP-complete and so, indeed, it is. In this research, we developed a novel solver combining following three methods; 1) two-body search method which can find mine-free square quickly in easy situations, 2) the method which can calculate the mine-filled probability efficiently by the complete enumeration, and 3) the selecting method among two or more mine-filled squares having the same smallest mine-filled probability. This solver achieved the winning rate of 49.4% for the standard minefield of 16×30 squares containing 99 mines.
著者
宮城 浩彰 井上 真郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 = IEICE technical report. IBISML, Information-based induction sciences and machine learning (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.265, pp.271-275, 2010-10-28
参考文献数
6

今日,ゲノムデータの統計的解析により疾患の原因となる遺伝的多型座が多々発見されている.この解析手法としてFisher正確確率検定もしくはこれを拡張したFisher-Freeman-Halton検定の多重検定補正(Bonferroni補正やHolm補正)が挙げられるが,これらの補正は保守的であり本来検出すべき遺伝的多型座を見逃している可能性が高い.このような問題に対し,本手法では多重性を考慮したp-値の正確計算を実現し,保守的でない多重検定補正手法を提案する.
著者
松村 崇志 井上 真郷
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-101, no.13, pp.1-6, 2013-12-16

平均律,純正律は音律 (音楽で使われる音の周波数比の決め方) の一種で,代表的な楽器はそれぞれピアノ,バイオリンである.何れも基準音 (ピアノでは 88 鍵盤の中央近くのラの周波数を 440Hz としたりする) に対して相対的な周波数比により各音の周波数を定め,平均律の場合は 「半音上がる毎に 2 の 1/12 乗倍」 と,無理数を用いて決める.一方純正律は小さな正の整数の比を用いるため,和音 (異なる高さの音を複数同時に鳴らす) の構成音が調和してうなりのない美しいものとなる.しかし,純正律はハ長調などの調毎に周波数比率が異なるため,ピアノなどの演奏中に再チューニングが出来ない楽器では,転調が出来ないという欠点がある.本研究では matching pursuit とピアノの特性を利用して,一つのピアノで演奏された楽曲の録音データを純正律で演奏されたような楽曲に変換する手法を提案する.これにより平均律楽器の表現の幅が広がる事が期待できる.結果,時間-周波数スペクトルを期待通りに変換でき,音楽経験の乏しい人でも違いを聞き分けることが出来た.
著者
西谷 崇志 原 慎平 井上 真郷
雑誌
研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.27(2009-GI-21), pp.101-108, 2009-03-02

本研究ではダーツ01(301)ゲームを対象に研究を行った。ダーツゲームは状態遷移確率がプレイヤーのスキルに依存する不確定ゲームであるため、未だその戦略的側面についてはあまり詳しく研究されていない。本研究ではプレイヤーが狙った点からダーツが二次元正規分布に従って当たるとするモデルで解析を行った。また、01ゲームの状態遷移には様々な経路が存在する点に着目し、動的計画法を用いることでプレイヤーのスキルに応じて平均的に最も少ないラウンド数で終了条件を満たす戦略を得ることに成功した。また、対戦相手が前述の戦略をとるものと仮定した上での、勝率を最大化する戦略も求め、結果を得た。本手法はより一般的な501ゲームにも容易に適用可能である。
著者
小川 将史 井上 真郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.306, pp.321-328, 2014-11-10

本研究では,組み合わせ最適化問題である『複数巡回セールスマン問題』の厳密な最適解の探索を行う.この問題では,全ての都市を何れかのセールスマンが一度ずつ訪れて共通の出発地点に全員戻るのに要する時間を最小にしなければならない.ゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)とsimpathアルゴリズムを応用することにより,条件を満たす解を全列挙し,最適解の効率的な探索が可能なアルゴリズムを提案する.
著者
小川 将史 井上 真郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.306, pp.321-328, 2014-11-17

本研究では,組み合わせ最適化問題である『複数巡回セールスマン問題』の厳密な最適解の探索を行う.この問題では,全ての都市を何れかのセールスマンが一度ずつ訪れて共通の出発地点に全員戻るのに要する時間を最小にしなければならない.ゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)とsimpathアルゴリズムを応用することにより,条件を満たす解を全列挙し,最適解の効率的な探索が可能なアルゴリズムを提案する.
著者
橋口 友美 井上 真郷 岡田 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.55-60, 2008-03-05

一次視覚野(V1)における輪郭抽出の性質は,特定の傾きに対しての方向選択性を持つモジュールの働きによるものであり,この性質を現す単純なモデルとしてGaborフィルタが用いられる.本研究では,視覚画像にGaborフィルタをかけて得られたフィルタ出力から,Bayes推定によって視覚画像を逆推定するという実験を試みた.これは,V1での脳活動情報を観測することで,今見ている視覚画像を推定することに相当する.Bayes推定を用いた画像修復の問題において,事前確率やノイズに並進対称性がある場合はFourier変換を用いて簡単に画像修復をすることができるが,畳み込みフィルタであるGaborフィルタも,Fourier変換を利用することで計算量を減らし,解析解を導くことができる.また,モデルに含まれるハイパーパラメータも,観測画像より推定が可能なことを示す.
著者
勝木 孝行 鳥居 英 井上 真郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.83, pp.63-68, 2010-06-11

超解像は複数枚の解像度の低い観測画像から,より解像度の高い画像を推定する技術である.中でも本報告では,複層Markov確率場を用いたBayes超解像について扱う.先行研究では劣化変換パラメータ,または高解像度画像のいずれかについては周辺尤度の最大化による点推定を行っていた.しかし,それらの推定に加えてハイパーパラメータをも同時推定する場合,自由度が増加することによってオーバーフィッティングが生じやすいという問題があった.そこで,本報告では変分Bayes法にTaylor近似やLaplace近似を組み合わせた近似手法を用いて全変数をBayes推定することで,オーバーフィッティングを避けたより高精度な推定を試みる.