著者
辻本 芳郎 板倉 勝高 井出 策夫 竹内 淳彦 北村 嘉行
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.477-504, 1962-10-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

本研究は目本の工業を空間的配置の上から研究することをこころざしたものである.まず,最大の工業地帯である京浜の中核である東京都区内の分析を行なつた. 1958年末現在で都内30人以上の全工場を重化学工業・組立工業・軽工業の3部門にわけて考察した. 概観して,中小工場が多く,鉄鋼・化学・繊維などの基礎的原料部門にかけている.〈重化学工業〉城東・城北・城南に多いが,河川・運河ぞいのわつかの部分をのぞき,重量物をあつかうものは少く,雑貨工業か組立工業の一部とみとめられるものが多い.〈組立工業〉城南・城北の2大核心地域をもつが雑貨的耐久消費財の生産が主である.〈軽工業〉各種の問屋の集中地域である日本橋と,浅草を核として城東地域に卓越し,印刷出版は中央地域に集中している.これを総合すると雑貨の多い城東・中央の躯幹部分と,戦中戦後飛躍的に発達した組立工業を主とする城南・城北と,西郊に成立しつつある環状分布の地域に分けられる.いつれも同一製晶をめざした同業・関連業種の工場が割合せまい地域に集つている. これらの工場は,手労働を主とした雑貨的商品が多く製晶ごとめ問屋的生産組織が無数の小営業者を統括しているのが特色である.
著者
板倉 勝高 井出 策夫 竹内 淳彦 北村 嘉行
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.403-424, 1964-08-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
25
被引用文献数
3

本研究は日本の工業を地域的に把握するために,最大の集中地域である京浜工業地帯の地域構造を明らかにしようとしたものである.そのために,まず工業地帯の領域を合理的に設定したうえで, 30人以上全工場の業種別分布図を基礎にして地帯内の工場分布を分折するとともに,工場間の地域的結合関係,すなわち生産構造を明らかにした. 京浜の工業において占める重化学工業の割合は厳密にみると極めて低く,工業地帯を特色づけるものではない.したがって,重化学を主体としている臨海地域のもつ意義は小さい. 京浜の工業を特色づけるものは自動車,テレビ,カメラなど耐久消費財を中心とする組立工業と,日用消費財を中心とする雑貨工業とであって城南と城東とを核心とした生産組織をそれぞれ形造っている.核心地域における工場は両部門とも,技術的にも特殊化され,また,同一製品の生産量が少ない製品を小単位ずつ,多くの種類にわたって生産している,すなわち「多種,小単位,特殊」生産を特色としており,それらが相互に強い結合関係を有しながら集中しているものであり,これを中心的大都市工業の特質と考えることができる.工業地域の拡大も,核心地域内における生産関係の変化によるものであり,したがって,京浜工業地帯の地域構造も,この核心地域によって規定されている.