著者
渋谷 明子 坂元 章 井堀 宣子 湯川 進太郎
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-12, 2011 (Released:2019-10-01)

591名の小学校高学年児童を対象にパネル研究を実施し、テレビゲームの暴力シーンへの接触時 間が長いと、 1 年後の攻撃性が高くなる傾向が男子でみられた。また、テレビゲームの世界を現実的だ と知覚していた男子の 1 年後の身体的攻撃が高くなった一方で、暴力シーンを見て虚しい気持ちになった男子の攻撃性は 1 年後に低くなる傾向も見られており、暴力シーンの見方によって、暴力シーンの長 期的影響が異なる可能性が示唆された。
著者
井堀 宣子 坂元 章 渋谷 明子 湯川 進太郎
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.34-43, 2008 (Released:2021-07-01)

テレビゲームが子どもに与える影響を調べるため、小学生を対象にしたパネル研究を実施した。 調査を2回実施し、子どものテレビゲーム使用量、シーン別接触量、ゲーム嗜好を測定するとともに、 攻撃行動、向社会的行動を測定した。交差遅れ効果モデルを用いて構造方程式モデル分析を行った結果、 男子において、平日のテレビゲーム使用量が多いほど、向社会的行動が抑制される傾向があった。また、 被調査者全体と男子において、向社会的シーンに接触する機会が多いほど、そして、非暴カゲーム嗜好が強いほど向社会的行動が促され、暴カゲーム嗜好が強いほど向社会的行動が抑制される傾向があった。
著者
渋谷 明子 坂元 章 井堀 宣子 湯川 進太郎
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.47-57, 2010-12-25 (Released:2020-07-10)
参考文献数
27

441名の小学校高学年児童とその保護者を対象にパネル研究を実施し,保護者が家庭でテレビゲーム接触の時間を厳しく制限していると,1年後の児童の攻撃性が低くなる傾向が男子でみられた.テレビゲームについては,他の指導万法の効果はみられなかったが,テレビ接触については,保護者がテレビ接触の時間だけでなく,テレビ番組の内容(暴力シーンを含んだ番組など)を厳しく制限していると,1年後の攻撃性が低くなる効果がみられた.
著者
井堀 宣子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

テレビゲームに関する研究のメタ分析を2種類実施した.メタ分析は文献のレビューとは異なり,領域すべての研究を量的に統合することが可能な手法である.まず,テレビゲームと認知能力との関係を検討した研究についてのメタ分析についてだが,ここでは,テレビゲームが,空間認知,情報処理能力,創造性,論理性,学校成績,、言語能力などの認知能力にどのような影響をもたらしたかについて検討した研究を収集し,知見を統合することを目的とした.オンラインデータベース「PsycINFO」,「Science Direct」,、「ERIC」等を利用し,テレビゲーム(コンピュータゲームを含む)と認知能力に関するキーワードで文献を検索し,テレビゲームの使用を独立変数とし,認知能力の測定を従属変数とした研究を抽出した.このうち,メタ分析に必要な統計値が報告されていなかったり,理論的にメタ分析に使用できない統計値しか報告されていない研究は除外した.その結果,本研究で対象とした研究は,空間認知に関するものが研究,情報処理能力に関するものが2研究,学校成績に関するものが7研究,言語能力に関するものが4研究,数学的能力に関するものが3研究であった.各研究で報告されていた統計値を,メタ分析で扱う数値に変換し,効果サイズZ_<FISHER>を求めた結果,重み付けを行わなかった場合は,いずれの認知能力の効果サイズも有意ではなかったが,重み付けを行った場合では,空間認知,情報処理能力,言語能力については,正の有意な効果サイズを示し,学校成績,数学的能力については負の有意な効果サイズを示した.これらの結果から,テレビゲームの使用は空間認知,情報処理能力,言語能力については,それらの能力を向上させるのに役立つ可能性が示され,逆に,学校成績や数学的能力については,それらの能力を低下させてしまう可能性が示された.次に,テレビゲームと攻撃性との関係を検討した研究についてのメタ分析についてだが,ここでは,テレビゲームが攻撃性などにどのような影響をもたらしたか検討した日本における研究のみを収集し,実施している.攻撃性の他に,攻撃行動,向社会的行動,社会不適応,共感性などの変数に関する従属変数を扱った研究についても同時に検討している.こちらのメタ分析については現在も進行中である.