著者
渋谷 明子
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.85-98, 2012-06-25 (Released:2020-06-19)
参考文献数
107

本稿では,メディア表現が及ぼす影響についての実証的な研究と,これまで問題になってきたメディア表現の特徴を整理した.青少年への影響については,暴力表現,性表現,反杜会的表現.言葉・思想関連表現のすべての領域で,青少年が影響を受ける場合があると考えられる.年齢別にみると,暴カシーンの影響に代表されるように,幼児や小学生など,低年齢の子どもたちのほうがメディアの影響を強く受けやすいことから,青少年保護のための配慮をする根拠はある.また,残虐な暴力表現,暴力的な性表現,飲酒,喫婢などの衣現,少数派集団に対する差別的表現,実在する人物,団体,病気などの名前が使われた場合に,杜会的な批判を浴びやすい.大人でも影響がみられる場合もあるので,表現にあたっては大人を対象としたメディアでも配慮が必要だろう.一方で,多様な人々を描くことは推奨される傾向もあり,配慮しながら,描いていく必要があると思われる.
著者
渋谷 明子 寺本 水羽 祥雲 暁代 秋山 久美子
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2013年11月(W1)、2014年5月(W2)に、15歳から29歳までのソーシャルゲーム利用者を対象に、インターネット調査を実施した。また、上位30位のソーシャルゲーム(W1時)の内容分析を行い、課金や期間限定イベントの文脈への接触度をプレイヤーごとに算出し、ゲーム依存、ゲーム接触時間、課金額などとの関連性を分析した。その結果、他のプレイヤーとの対戦継続で課金できるゲームで遊ぶプレイヤー(W1)は、6か月後のゲーム接触時間(W2)が長くなり、期間限定ガチャの最高金額が高いゲームで遊ぶプレイヤー(W2)は、6か月後の課金額(W2)が上昇しており、これらは長期的影響である可能性が示唆された。
著者
渋谷 明子 坂元 章 井堀 宣子 湯川 進太郎
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-12, 2011 (Released:2019-10-01)

591名の小学校高学年児童を対象にパネル研究を実施し、テレビゲームの暴力シーンへの接触時 間が長いと、 1 年後の攻撃性が高くなる傾向が男子でみられた。また、テレビゲームの世界を現実的だ と知覚していた男子の 1 年後の身体的攻撃が高くなった一方で、暴力シーンを見て虚しい気持ちになった男子の攻撃性は 1 年後に低くなる傾向も見られており、暴力シーンの見方によって、暴力シーンの長 期的影響が異なる可能性が示唆された。
著者
井堀 宣子 坂元 章 渋谷 明子 湯川 進太郎
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.34-43, 2008 (Released:2021-07-01)

テレビゲームが子どもに与える影響を調べるため、小学生を対象にしたパネル研究を実施した。 調査を2回実施し、子どものテレビゲーム使用量、シーン別接触量、ゲーム嗜好を測定するとともに、 攻撃行動、向社会的行動を測定した。交差遅れ効果モデルを用いて構造方程式モデル分析を行った結果、 男子において、平日のテレビゲーム使用量が多いほど、向社会的行動が抑制される傾向があった。また、 被調査者全体と男子において、向社会的シーンに接触する機会が多いほど、そして、非暴カゲーム嗜好が強いほど向社会的行動が促され、暴カゲーム嗜好が強いほど向社会的行動が抑制される傾向があった。
著者
堀内 由樹子 田島 祥 鈴木 佳苗 渋谷 明子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-24, 2016 (Released:2019-10-01)

本研究では、中学生を対象とした 2 時点の縦断調査を実施し、レーティング区分ごとのゲーム ソフト利用による攻撃性および暴力に対する規範意識への影響を検討した。調査は、2008年度末と2009 年度末に実施し、東京、千葉、埼玉の公立中学校12校、1218名の中学生が分析対象となった。分析の結 果、男子学生では、C区分の暴力的ゲームソフト利用によって、1 年後の暴力に対する規範意識が低下 することが示された。B区分の暴力的ゲームソフトや非暴力的ゲームソフト利用ではこのような影響は 見られず、レーティング区分によって影響が異なることが一部で示唆された。
著者
堀内 由樹子 坂元 章 秋山 久美子 寺本 水羽 河本 泰信 松本 正生 村井 俊哉 佐々木 輝美 渋谷 明子 篠原 菊紀
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1-11, 2022-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
31

本研究では,ゲーム障害尺度であるIGDT-10 (Király et al. 2017, 2019)に基づいて,子どもから大人まで適用できる日本語版の尺度を作成した.IGDT-10の著者の協力のもと,原文の項目文をより平易な日本語の文章に変更することを行った.作成した尺度について,小中学生を対象とした学校での一斉回収による郵送調査(N=1006),高校生を対象としたウェブ調査(N=219),18–79歳の大人を対象としたウェブ調査(N=1308)の3つの調査により,信頼性及び妥当性の検討を行った.対象者は,年間でのゲーム利用者及び過去にゲーム利用をしたことがある経験者であった.結果として,クロンバックのα係数が3つの調査のいずれでも0.8を超えており,本尺度は信頼性があることが示された.また,確認的因子分析及び外的基準となる尺度及び変数との相関の結果から,因子的妥当性及び基準関連妥当性があることが示された.
著者
渋谷 明子 萩原 滋
出版者
慶應義塾大学大学院社会学研究科
雑誌
慶応義塾大学大学院社会学研究科紀要 (ISSN:0912456X)
巻号頁・発行日
no.56, pp.1-19, 2003

I. はじめにII. 討論系バラエティー番組『ここがヘンだよ日本人」(TBS系)III. 研究の課題と方法IV. 結果V. 考察論文
著者
堀内 由樹子 田島 祥 鈴木 佳苗 渋谷 明子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-24, 2016

本研究では、中学生を対象とした 2 時点の縦断調査を実施し、レーティング区分ごとのゲーム ソフト利用による攻撃性および暴力に対する規範意識への影響を検討した。調査は、2008年度末と2009 年度末に実施し、東京、千葉、埼玉の公立中学校12校、1218名の中学生が分析対象となった。分析の結 果、男子学生では、C区分の暴力的ゲームソフト利用によって、1 年後の暴力に対する規範意識が低下 することが示された。B区分の暴力的ゲームソフトや非暴力的ゲームソフト利用ではこのような影響は 見られず、レーティング区分によって影響が異なることが一部で示唆された。
著者
坂元 章 渋谷 明子 笠原 章子 松尾 由美 田島 祥 佐々木 輝美 渋谷 明子 笠原 章子 (七海陽) 田島 祥 佐々木 輝美 堀内 由樹子 松尾 由美 寺本 水羽 鄭 姝 倉津 美紗子 Anderson Craig A. Gentile Douglas A.
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

3歳児クラスから高校生までの子どものゲーム利用による攻撃性、社会的適応の影響を検討した。ゲーム利用時間やゲーム上の交流経験が攻撃的傾向や社会的適応に影響することが示された。また、保護者の介入行動は子どもの学齢が低い場合には介入の効果は高いこと、子どもの学齢や介入する問題の種類で介入行動の効果が異なることが示され、子どもの発達段階や問題にあわせて介入方法を調整する必要性が示唆された。レーティングについては、家庭での認知度が低いこと、レーティング区分毎の攻撃的傾向に対する影響について一貫した結果が見られなかったことから、効果的な介入の手段とするために工夫や検討が必要であることが示された。
著者
渋谷 明子 坂元 章 井堀 宣子 湯川 進太郎
出版者
NPO法人 日本シミュレーション&ゲーミング学会
雑誌
シミュレーション&ゲーミング (ISSN:13451499)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.47-57, 2010-12-25 (Released:2020-07-10)
参考文献数
27

441名の小学校高学年児童とその保護者を対象にパネル研究を実施し,保護者が家庭でテレビゲーム接触の時間を厳しく制限していると,1年後の児童の攻撃性が低くなる傾向が男子でみられた.テレビゲームについては,他の指導万法の効果はみられなかったが,テレビ接触については,保護者がテレビ接触の時間だけでなく,テレビ番組の内容(暴力シーンを含んだ番組など)を厳しく制限していると,1年後の攻撃性が低くなる効果がみられた.