著者
大河内 博 岩崎 貴也 佐瀬 裕之 村田 浩太郎 高橋 善幸 井川 学 戸田 敬 藍川 昌秀
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

記録的短時間大雨による甚大な山地災害が多発している.地球温暖化に伴う海洋水蒸気量の増大が指摘されているが,山間部豪雨の生成機構は不明である.山間部特有な現象として霧の頻繁な発生がある.また,植物起源一次粒子,生物揮発性有機化合物からの二次粒子があり,重要な雲凝結核・氷晶核になる.酸性霧や大気汚染物質が森林生態系を脆弱化させ,被害を拡大させている可能性もある.本研究では,山間部豪雨の実態解明,森林大気特有の雲凝結核の同定を行い,霧発生や山間部豪雨に及ぼす影響を解明する.また,全国山間部の霧沈着マップを作成し,国内汚染および越境大気汚染の評価とともに,森林生態系の健全性との関係を明らかにする.
著者
松本 潔 井川 学
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.61-68, 2010-03-31

酸性沈着物の森林への沈着とその樹木への影響に関するこれまでの研究成果を概観し, 続いて著者らが行った丹沢大山における大気化学観測と, この結果をもとにこの地域への酸性沈着物の沈着状況について紹介する. あわせて, 大気圏・生物圏相互作用系の研究における, 酸性沈着物の森林への沈着に関する研究の重要性について考察する.
著者
森 孝司 大河内 博 井川 学
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.157-161, 1997-03-10
被引用文献数
5

1994年4月35日に大山においてpH1.95の霧が観測された。この霧は非海塩起源の塩化物イオン濃度が12.8mmol/lと極めて高く, 塩化水素ガスの吸収によりpHが低下したことを示していた。非海塩起源の塩化物イオン濃度が高くpHの低い霧はこの他にも観測されたが, いずれも夕方を中心とした時間帯に限定され, また濃度は急激に増加し短時間の内に再び減少することから, 局地的な塩化水素ガスの汚染が考えられた。霧水量と霧水内濃度から霧発生前の大気中塩化水素ガス濃度は約2ppbと推測されるが, この値は都市部では普通に観測される濃度であることから, 塩酸により強酸性となる霧は都市近郊山岳部で今後も発生することが予想される。