著者
持丸 博 川並 汪一 工藤 翔二 仁井谷 久暢
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.268-274, 1995-03-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
25

シリカを経気管的にSDラットに投与し, 肺胞壁の線維化と肺胞毛細血管内皮細胞の化生の発現機序について免疫組織化学的電顕的に観察した. 投与直後より肺胞毛細血管は虚脱し, 内皮細胞は広い範囲にわたり壊死を示した. 腔内にはシリカによる肉芽腫が形成され, 同部へ肺胞壁の線維芽細胞が侵入増生し膠原物質を産生した. 同病変は再生上皮細胞で被覆され間質線維化が誘導された. 投与4日目に細気管支周囲の小血管の内皮細胞がPCNA (増殖細胞核抗原) 陽性を示した. 同胞体は肺胞毛細血管に沿って遊走し壊死に陥った内皮細胞を置換した. 1ヵ月目以降, 正常では陰性の肺胞毛細血管は, Factor-VIII related antigen (F-VIII) 陽性となり, 電顕的には Weibel-Palade 小体が出現した. 一部の毛細血管には, 気管支動脈系毛細血管内皮細胞の特徴を示す有窓構造の出現を認めた. この化生は新生内皮細胞の起源が気道系血管であることを示唆すると思われた.
著者
井上 哲生 内田 正興 松浦 鎮 佐竹 文介 西尾 正道 富樫 孝一 夜久 有滋 竹生田 勝次 小野 勇 海老原 敏 谷川 譲 武宮 三三 佃 守 河辺 義孝 松浦 秀博 佐藤 武男 吉野 邦俊 溝尻 源太郎 中田 将風 小池 聰之 中島 格 仁井谷 久暢
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1026-1033, 1993-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5

全国のがん専門施設16施設の共同研究として頭頸部癌98例に対しCDDP+PEP+ MTX (PPM法), CDDP+PEP+5FU (PPF法) の無作為比較試験を行い以下の結果を得た.1. PPM法は44例中, CR3例, PR18例で奏効率48%, PPF法は54例中, CR2 例, PR25例で, 奏効率は50%であつた.2. 病期別治療効果では, III期においてPPM法で90%, PPF法で63%の奏効率が得られPPM法で高い効果が認められた.3. 初回再発別治療効果は, 初回治療例でPPM法54%, PPF法56%と高い奏効率を示したが, 再発治療例においては, それぞれ40%, 33%と低下した.4. 副作用は, PPM法で白血球数が2000未満となつた症例が30%に認められたが, その他, 重篤な副作用は認められなかつた.