著者
長谷川 泰久 松浦 秀博 立野 紘雄
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5Supplement4, pp.867-873, 1990-10-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
9

甲状腺乳頭癌と濾胞癌について, 索状, 充実性, ないしは硬性の低分化構造の有無およびその量より, 分化癌, 低分化構造微少混在癌, 低分化癌に再分類し, その臨床的意義について検討を加えた.乳頭癌において性別, 年齢別, 病期別に生存率を比較すると, 45才以上, 病期III・IVで分化癌に比して微少混在癌の生存率が低値であつたが, 両者には有意な差異は認められなかつた.一方, 低分化癌は乳頭癌と濾胞癌を併せても2例と少数であるが, 2例とも再発から死亡に至つており, これらの点より,「いわゆる低分化癌」の分類には低分化構造の有無のみならず, 量的な問題を含めてさらに検討する必要があると思われた.
著者
長谷川 泰久 松浦 秀博 中山 敏 藤本 保志 松塚 崇 寺田 聡広 奥村 耕司 竹内 秀行 松本 昇
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.530-534, 1997-11-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

甲状腺乳頭がんの予後は一般に良好である。頸部郭清ではいかに機能障害の少ない手術を行うかが大切である。われわれは癌の進行度に応じて頸部郭清術を使い分けている。Lateral component に対しては Jugular Neck Dissection (JND, 深頸郭清術) と Modified ND (MND) を用いる。 JNDは甲状腺癌取扱い規約のV, VIに当たる内深頚リンパ節と鎖骨上窩リンパ節の郭清を行う。MNDはこれに副神経リンパ節 (規約のVII) の郭清を追加する術式である。この中でJNDについてその手術手技を中心に述べる。切開切離はメスによる鋭的切離を基本として行う。メスによる切離は術者と助手の間でカウンタートラクションを十分に行うことが大切である。郭清は6つの面 (上面: 顎二腹筋後腹, 外面: 胸鎖乳突筋内面, 内面: 深頸筋膜面, 後面: 胸鎖乳突筋後縁, 下面: 鎖骨上縁, 前面 (甲状腺): 前頸筋外側面) を順次切離するように行う。N044例にJNDを行い, 組織学的リンパ節転移を内深頚リンパ節に75%認めた。これまでの経過観察ではJNDを受けた症例に非郭清部および郭清部の再発はない。
著者
井上 哲生 内田 正興 松浦 鎮 佐竹 文介 西尾 正道 富樫 孝一 夜久 有滋 竹生田 勝次 小野 勇 海老原 敏 谷川 譲 武宮 三三 佃 守 河辺 義孝 松浦 秀博 佐藤 武男 吉野 邦俊 溝尻 源太郎 中田 将風 小池 聰之 中島 格 仁井谷 久暢
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.1026-1033, 1993-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
5

全国のがん専門施設16施設の共同研究として頭頸部癌98例に対しCDDP+PEP+ MTX (PPM法), CDDP+PEP+5FU (PPF法) の無作為比較試験を行い以下の結果を得た.1. PPM法は44例中, CR3例, PR18例で奏効率48%, PPF法は54例中, CR2 例, PR25例で, 奏効率は50%であつた.2. 病期別治療効果では, III期においてPPM法で90%, PPF法で63%の奏効率が得られPPM法で高い効果が認められた.3. 初回再発別治療効果は, 初回治療例でPPM法54%, PPF法56%と高い奏効率を示したが, 再発治療例においては, それぞれ40%, 33%と低下した.4. 副作用は, PPM法で白血球数が2000未満となつた症例が30%に認められたが, その他, 重篤な副作用は認められなかつた.
著者
新谷 悟 松浦 秀博 長谷川 泰久
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.180-184, 1996-03-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10
被引用文献数
6 4

舌癌原発巣の深さは転移予知因子の一つであることを明らかにした。外科治療のみを行った70例の, 頸部転移陽性31例の深さの平均値は12.1mm, 陰性39例では6.1mmであった (p<0.05)。また, 遠隔転移発生の有無では20.2mmに対し6.6mmであった (p<0.01)。N0例の転移後発を高率に予知できれば選択的郭清の適応を決めるのに役立つ。70例のT1, 2N0 41例を深さ5mm未満と5mm以上に二分して頸部転移後発率をみると4% (1/26) と60% (9/15) であった (p<0.05)。術前の深さを知るために最近の17例に対し, 超音波診断を試みた。病変部は明瞭に描出され, 腫瘍の深さはmm単位で計測できた。さらに, 超音波エコーによる病巣の深さ (Y) は病理組織標本上の測定値 (X) とよく相関したことから (Y=0.792X), 術前の超音波エコーで, 深さ6ないしは7mm以上のN0症例は, 選択的頸部郭清を行うべきであると考える。
著者
新谷 悟 松浦 秀博 長谷川 泰久
雑誌
頭頚部腫瘍 (ISSN:09114335)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.180-184, 1996-03-30
被引用文献数
15