- 著者
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登喜 和江
高田 早苗
蓬莱 節子
和田 恵美子
山居 輝美
前川 泰子
山下 裕紀
仁平 雅子
柴田 しおり
- 出版者
- 大阪府立看護大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
脳卒中後遺症としてのしびれや痛みの実態および対処の様相を明らかにすることを目的に面接法と質問紙法による調査を行った。脳卒中後遺症としてのしびれや痛みは,(1)約7割に発症している。(2)約5割の人々が四六時中しびれや痛みを感じている。(3)約7割の人々が生活に支障を感じながらも何とか生活している。(4)最大の強さを100とした場合,約1割の人々が80以上と感じている。(5)個々の参加者によって多様に表現される一方,表現しがたいとする人も少なくない。(6)明確に区別されにくく,人によってはしびれが強くなると痛みに近い感覚として体験される。(7)気象の変化等による深部や内部のしびれ・痛みとして知覚される場合と雨風が直接当たることで誘発される皮膚表面のしびれ・痛みといった一見相反する感覚を併せ持つ。(8)眠ると感じない,他に意識が向いている時は忘れている,しびれ・痛みに意識が集中すると強く感じられる等の特徴が見出された。しびれや痛みの受けとめは,「強さ」「罹病期間」「医療者や身近な人々の対応」に影響を受けていた。治療効果については,様々な医学的治療や民間療法が用いられていたが,「温泉」「マッサージ」「温湿布」などの身体侵襲が少なく心地よさを感じる療法に効果があったとしていた。また,しびれや痛みは,それ自体として知覚されるだけでなく<感覚の不確かさ><温冷感覚の変化><感覚の違和感>といった特異な感覚を伴っている。さらに,この痛み・しびれは,脳卒中者の生活に多様な影響をもたらしており,参加者は<しびれ・痛みそのものへの対応><身体との折り合い><道具世界との協調><周囲との付き合い><自分自身と向き合う>といった対処で生活を維持しようと努めていた。