著者
西村 ユミ 前田 泰樹 前田 泰樹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、看護場面として急性期医療の現場に注目し、そこでの実践がいかに成り立っているのかを記述することを目的とした。研究期間内においては、おもに、患者の苦痛の理解という実践に注目した。看護師たちは、観察や評価に先立って、患者の痛みの経験を理解しはじめていた。この理解は、患者の痛みに応じようとする行為的な感覚や、具体的な行為とともに成り立っていた。そして、この行為を交換することによって、看護場面における協働が達成されていた。
著者
西村 ユミ
出版者
日本赤十字看護大学
雑誌
日本赤十字看護大学紀要 (ISSN:09142444)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-9, 2002-03-10

In research exploring human experiences, researchers often come into direct contact with research participants to collect data, such as events and their descriptions. Therefore, within a series of research processes, the ways in which research subjects participate, observe events, and are interviewed are important. Although these processes are often listed as methodologies or procedures for data collection, the ways in which these processes are performed in actual practice is rarely discussed. The present paper discusses an interactive interview process with nurses, and how the author placed herself in clinical settings in the author's past studies investigating experiences of nursing care for patients in a persistent vegetative state (Nishimura, 1999 and 2001). The results demonstrate that relationships between patients in a persistent vegetative state and nurses were constructed from the interaction (interview) of physical communication between nurses and the author. In addition, when discussing past experiences, nurses interpreted past events with current perspectives and recreated new experiences while in the process of describing how they physically nursed these patients in a persistent vegetative state. Furthermore, placing oneself in clinical settings meant that the author was involved in the reformation of past events, and thus the nurses related their experiences as if the author had been present. "Interactive interview" and "Placing oneself in clinical settings" are two processes of research when researchers come in direct contact with research participants, and these processes are facilitated by physical communication, which is the foundation for providing nursing care for patients in a persistent vegetative state.
著者
榊原 哲也 西村 ユミ 守田 美奈子 山本 則子 村上 靖彦 野間 俊一 孫 大輔 和田 渡 福田 俊子 西村 高宏 近田 真美子 小林 道太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、これまで主として看護研究や看護実践の領域において注目されてきた、看護の営みについての現象学的研究(「ケアの現象学」)の、その考察対象を、医師による治療も含めた「医療」活動にまで拡げることによって、「ケアの現象学」を「医療現象学」として新たに構築することを目的とするものであった。医療に関わる看護師、ソーシャルワーカー、患者、家族の経験とともに、とりわけ地域医療に従事する医師の経験の成り立ちのいくつかの側面を現象学的に明らかにすることができ、地域医療に関わる各々の当事者の視点を、できる限り患者と家族の生活世界的視点に向けて繋ぎ合せ総合する素地が形成された。
著者
池川 清子 吾妻 知美 西村 ユミ 守田 美奈子 蓬莱 節子 仁平 雅子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

看護の高等教育化が急速に進展しつつある現在、看護学の学的基盤の確立が急務である。本研究では、研究代表者である池川が長年と取り組んできた「看護学の実践学的パラダイム」を基礎理論として、看護学固有の対象と方法を明確にすることをとおして、実践学としての看護学をより詳細に特徴づけ、基礎づけるものを明確にした。本研究の成果は、おおよそ以下の5点に要約される。1.看護学を実践学的パラダイムの視座から体系化するという試みは時代の要請であり、実践を目的とする看護理論の構築という観点からも、今、世界が向かおうとしている動向である。2.看護学を実践学として基礎づけるためには、科学的パラダイムとは異なる方法論の吟味が必要である。本研究では、看護の現象を看護者と看護を必要とする相手とのかかわりの中から立ち現れる出来事として捉え、従来の看護学を現象学的視点から問い直した。3.実践学としての看護学の前提を明らかにするためには、看護実践の構造の解明が不可欠である。本研究では、看護実践と言語、看護実践と行為・技術、看護実践と経験の諸点から看護実践の構造を明らかにした。4.実践学としての看護学の研究方法として、看護の現象をありのまま生き生きと捉える方法として、現象学的解釈学の有用性を明らかにした。5.これまで抽出が困難であった看護実践者の経験を現象学的記述による、方法としての「対話」を確立した。
著者
守田 美奈子 吉田 みつ子 川原 由佳里 樋口 康子 吾妻 知美 西村 ユミ 池川 清子 稲岡 文昭 坂本 成美
出版者
日本赤十字看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、看護学の体系化に向けて最も重要な学的基盤としての看護哲学の確立をめざすことを目的とした。ここ数十年の間に、わが国においても看護の研究論文は増え、新たな看護の知も蓄積されつつある。看護という現象が、経験の中にうずもれ、学的な体系として整理されにくかった大きな理由は、看護という現象の複雑さや深みというものが、既存の理論や従来の科学的学問観で捉え、明らかにしていくことに困難さを伴うものであったからだといえる。しかし、その違和感を問うことに看護の学的基盤を創るエッセンスがあり、「看護とは一体何なのか、どのような現象なのか、どのような特徴があるのか」といった問いを追究することがことが必要なのである。本研究は、このような問題意識から始まり、これまでの看護理論家の思索の足跡をたどりながら、それを問い直し、対話をはかることによって次の各課題についての考察した。1.看護哲学の必要性(看護哲学の課題、わが国の看護哲学に求められているもの)2.看護のアート(「看護のアート」とは何か、看護のアートにおける「技術」の概念看護における全体性の概念、患者理解における直観概念の意義3.看護学の知のスタイル(看護のリアリティ、看護におけるアクチュアリティ)4.看護の科学と哲学(複雑系の科学の可能性、カオス理論と看護研究)
著者
溝口 満子 守田 美奈子 西村 ユミ 前田 泰樹 渋江 かさね 和泉 俊一郎 近藤 朱音 大貫 優子 高橋 千果 横山 寛子 森屋 宏美
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

看護職者の相談能力向上のための、自主学習用ツールとしてドラマ及び学習方法をセットにしたDVDを作成した。看護職者が対応することの多い出生前診断の一つである羊水検査を受けた妊婦の体験をもとに夫婦と彼らを取り巻く人々の心情を細かく描いたストーリーを2つ作成し、各々をドラマ化した。一方看護師を対象としたワークショップを開催し、'大人の学び'および専門職としての経験知を活かした学習方法の有効性を検証した。