著者
今井 博之
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.32-41, 2010 (Released:2011-11-12)
参考文献数
24
被引用文献数
2

傷害(injury)は子どもや比較的若年の成人に多いので社会的損失が大きい.より若年の早死に焦点を当てたYPLL(損失生存可能年数)によると,傷害はガンや心疾患を凌駕する第一位の座を占めており,公衆衛生上の重要問題の一つである.かつて事故予防(accident prevention)と呼ばれていた分野は,今日では傷害制御(injury control)と呼ばれるようになった.その背景にはこの分野での過去数十年の進歩による概念の変遷がある.つまり,感染症制御モデルに倣った公衆衛生学的アプローチがその主軸となっている.傷害制御の基本的原理は,(1) Haddonマトリックスに示されるように,必ずしも事故の発生頻度を減らさないでも傷害の重症度を減らすことは可能であり,また,それらの対策には予防-介入-事後対策など包括的な実践が可能であるという考え方である.さらに,(2) 受動的-vs-能動的対策,(3) 3E(教育,工学,法制化)アプローチ,などの理解も不可欠である.本稿は,これらの基本的原理を解説することを主な目的とした.そしてさらに,近年発展をとげてきた行動科学的アプローチ(傷害氷山のエコロジカル・モデル,プリシード・プロシード・モデル,Haddonマトリックスの第3の軸)や,セーフコミュニティ運動が,傷害制御にどのように関わっているのかについても言及した.
著者
今井 博之
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.199-210, 2001-10-31 (Released:2016-09-30)
参考文献数
16

合計特殊出生率が1.4をもしたまわっていることが表すように、近年の日本では少子化が深刻となっているが、その原因分析においては、女子労働に注目して出生力を出産・育児の機会費用と結びつける新家政学的接近が有力な位置を占めている。本稿は、その日本における有効性を検討することを目的としており、2つの観点のそれぞれから否定的な結論を導く。 第1に、バッツ=ウォード型モデルによる時系列分析を試みる。既存研究を概観して2つの式をとりあげ、いずれが表すモデルも1968-2000年の日本の合計特殊出生率に適合しないことを示す。 第2に、新家政学的接近が出生力と妻の労働力参加との負の関係を前提としていることに注目し、都道府県別データによるクロス・セクション分析を行う。出生力の指標としては1995年の「国勢調査」からえられる平均同居児数を用いる。既婚女子については有業の割合をとりあげて、さらに有業の既婚女子については正規雇用の割合をとりあげて分析を行い、出生力と妻の労働力参加との間にむしろ正の関係が観察されることを示す。
著者
今井 博之 野村 琢家 魚森 謙也 山田 光穂 吉田 辰夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.25-32, 1993-01-22

前後に配置した実視標、およびHDTV偏光二眼式立体ディスプレイにより同位置に呈示された仮想視標を被験者に交互に注視させ、その時の奥行き方向も含めた3次元注視点を測定した結果、両者の奥行き方向の動きに関して違いが見られた。次に3Dおよび2Dの自然動画像を呈示し、被験者が特定の被写体を追跡した際の3次元注視点を測定した。その結果、注視点の奥行き方向の動きに関して、被写体と異なった動きが認められた。また3D、2Dの両者においても違いが見られた。