著者
今井 昇
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.347-355, 2021-04-01

抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体薬であるガルカネズマブは,プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験(RCT)で有効性と安全性が認められ,米国食品医薬品局で反復性群発頭痛の予防薬として承認されている。また,翼口蓋神経節刺激療法は,慢性群発頭痛の急性期治療としてRCTで有効性と安全性が確認されている。本論では,これらの治療法の作用機序,臨床試験での結果,臨床での使用方法,本邦における見通しについて概説する。
著者
池田 浩子 今井 昇 井川 雅子 岩井 謙 道端 彩 高森 康次
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.55-63, 2017 (Released:2019-04-24)
参考文献数
34

症例の概要:72歳男性.咀嚼時の両側咬筋の疲労感・開口障害による咀嚼困難を主訴に口腔外科を受診した.顎跛行,開口障害,複視,めまい,体重減少,間歇的な頭皮の痛みなどの症状が認められたため,精査目的に専門施設(神経内科)を紹介した.頸動脈エコー,側頭動脈生検の結果,巨細胞性動脈炎と診断された.ステロイド治療が施行され,速やかに症状の改善が認められた.考察:巨細胞性動脈炎は頭痛以外にも多彩な症状を呈する.顎顔面領域にも顎跛行や開口障害など様々な症状が発現するため歯科を受診する可能性も高いと考えられる.巨細胞性動脈炎が呈する症状のうち,顎跛行,複視,側頭動脈の拡大・圧痛・拍動消失は陽性尤度比の高い症状とされており,そのような症状が認められた場合は速やかに専門施設へ紹介することが重要である.そのためには歯科医師も巨細胞性動脈炎の病態を正確に理解しておく必要性があると考えた.結論:顎跛行および開口障害を主訴に口腔外科を受診し複視,めまい,体重減少,間歇的な頭皮の痛みおよびリウマチ性多発筋痛症の合併も考慮された巨細胞性動脈炎の症例を経験した.
著者
村岡 渡 井川 雅子 今井 昇 池内 忍 朝波 惣一郎 中川 種昭
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.585-588, 2004-10-20 (Released:2011-04-22)
参考文献数
19
被引用文献数
1 2

Temporal arteritis, also referred to as giant cell arteritis, is a rare disease in Japan. The epidemiological investigation performed by the Ministry of Health and Welfare in Japan in 1998 reported that temporal arteritis occurred at a frequency of 0.65 cases per 100, 000 population. The first symptoms, according to this report, were headache, usually in the temporal region, accompanied by fever, weight loss, and visual disturbance.A 78-year-old woman with temporal arteritis who had a chief complaint of jaw claudication is reported. Her symptoms at first consultation were bilateral temporal tenderness, funicular swelling of the superficial temporal artery, and an increased erythrocyte sedimentation rate. Because temporal arteritis was suspected, the patient was referred to a neurologist. After admission to the department of neurology, the right temporal artery showed an embolus on digital subtraction angiography and the left temporal artery showed constriction; a biopsy of the right temporal artery was therefore performed by an otolaryngologist. Histopathological examination showed a granulomatous inflammatory lesion with mononuclear cell infiltration associated with Langhans' type giant cells, involving mainly the tunica intima. By the early diagnosis of temporal arteritis and immediate steroid administration, these symptoms markedly improved within 48 hours, and no signs or symptoms have been observed subsequently.
著者
朝比奈 彩 黒山 祥文 小原澤 英之 今井 昇
出版者
静岡赤十字病院
雑誌
静岡赤十字病院研究報 = Journal of Japanese Red Cross Shizuoka Hospital (ISSN:09119833)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.47-51, 2020-12-01

2020年2月末,新型コロナウイルス検査の院内導入の指示があり,3月中旬に開始した.感染対策チームと連携し,検査部の詳細な感染対策指針を作成した.そして,検査部勉強会を開催し,新型コロナウイルスに対する正しい知識を身につけ,安全な労働環境を整備した.3月末,初めて陽性者を判定し,早期発見から迅速な対応につながったと感謝の言葉をいただいた.2020年10月現在,real time RT-PCR法,LAMP法,抗原定性検査を実施している.また,新型コロナウイルスがどのような影響を及ぼしたのか,臨床検査技師を対象にアンケートを実施した.新型コロナウイルスを取り巻く環境下での検査体制は大変だと感じている技師が過半数であったが,貢献していると実感した技師も同数おり,やりがいを感じられている.他にも,臨床検査技師の認知,感染対策・精度保証について,理解が深まったことは副産物であった今後の課題は,遺伝子検査に対応できる臨床検査技師の育成,外部精度管理,検査室の感染対策の継続などがある.柔軟に対応して,臨床支援を続けていきたい.