著者
石川 理恵 川村 強 河野 順子
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.585-590, 2022 (Released:2022-04-28)
参考文献数
17

薬剤の使用過多による頭痛(medication-overuse headache:MOH)の治療において原因薬物を中止すると反跳頭痛が出現し,離脱に苦慮することが多い.頭痛以外の随伴症状を伴う47人を対象に漢方薬を処方し,離脱成功率,年齢,性別,頭痛の原疾患,随伴症状に対応した漢方薬,予防薬の使用状況,治療開始前後での頭痛治療薬の服薬日数について調べた.離脱成功率は85%であった.おもな処方は五苓散,桂枝茯苓丸,当帰芍薬散,柴胡加竜骨牡蛎湯であった.
著者
柴田 護
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.534-536, 2022 (Released:2022-04-28)
参考文献数
7
著者
井畑 真太朗 山口 智 光藤 尚 小内 愛 堀部 豪 久保 亜抄子 山元 敏正
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.600-603, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
15

症例 : 47歳,女性.主訴 : 頭痛.現病歴 : X-1年1月当院脳神経内科を受診,同年5月よりエレヌマブの臨床試験に参加.X年5月臨床試験終了後より片頭痛の日数が増加したため,X年12月鍼外来紹介受診.片頭痛予防と頸肩部の筋緊張緩和を目的に頸肩部に位置する経穴に週1回鍼治療を実施.評価は頭痛ダイアリーを用いた.鍼治療前には1ヵ月の片頭痛日数14日,エレトリプタン服薬数14錠であったが,鍼治療3ヵ月後の片頭痛日数4日,エレトリプタン5錠に減少.鍼治療はcalcitonin gene-related peptide (CGRP) 関連製剤使用後に増加した片頭痛日数とトリプタン服薬数を減少させる可能性がある.
著者
加藤 宏一
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.584-589, 2023 (Released:2023-04-20)
参考文献数
7

医療機関での頭痛の実態調査を行い,就労者の健康や職場環境のあり方につき検討した.労働者健康安全機構東京労災病院に勤務する職員に対し,アンケート方式にてデータ収集を行った (回収率97%) .頭痛は女性に有意に多く,職種別では看護師に有意に多かった.頭痛時の自覚的な就業能力も低下しており,頭痛は気圧の変化,夜勤明け,忙しいときに生じやすかった.職場での配慮に関しては「自分からは言わない」と回答した職員が53.6%いた.頭痛で早退・欠勤したことがある職員は5%以下であった.頭痛時は就業能力が低下していても休める状況ではなく,プレゼンティーズムが問題であった.職場での頭痛に対する理解や休息できる環境整備などが重要である.
著者
五島 史行 岩倉 昌岐
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.148-151, 2023 (Released:2023-09-20)
参考文献数
9

頭痛外来において耳鳴の有病率やその支障度について検討を行った.対象は,頭痛を主訴に頭痛専門外来を受診した231例とした.耳鳴の苦痛度をTHI-12,気分状態をHADSにて評価した.耳鳴を訴えたものは61例 (約30%) であった.疾患では片頭痛,特に慢性片頭痛で高い傾向が認められた.これらの耳鳴は生活への障害はあまり高度ではなかった.また耳鳴を有する患者はめまいも有している割合が高かった.前庭性片頭痛は41例あったがそのうち13例 (31.7%) で耳鳴を認めた.前兆のない片頭痛で耳鳴のある41例中7例に難聴を認め,4例は突発性難聴の既往があった.頭痛外来において耳鳴の訴えが高率に認められることが分かった.
著者
田妻 卓 杉本 太路 阿部 貴文 大野 成美 儀賀 麻由実 内藤 裕之 河野 智之 野村 栄一 山脇 健盛
出版者
一般社団法人 日本頭痛学会
雑誌
日本頭痛学会誌 (ISSN:13456547)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.193-197, 2021 (Released:2021-09-01)
参考文献数
15

症例は16歳男性.10歳時より視野の左側に出現する点状の模様に続いて後頭部痛があり,その頻度が増加し,全身強直間代性痙攣を生じて入院した.MRIで両側後頭葉に瘢痕脳回を認めた.視覚症状は後頭葉てんかん発作としての要素性幻視と考えられた.レベチラセタム投与により幻視および頭痛は消失し,痙攣の再発なく経過した.要素性幻視は,片頭痛ではジグザグした模様が視野の末梢へ緩徐に動くが,後頭葉てんかんでは円状または点状で視野の中心や出現部位と対側へ速く動くことから,病歴聴取が鑑別に有用であった.前兆のある片頭痛と後頭葉てんかんの鑑別には,視覚症状の詳細な病歴聴取と頭部MRI画像が有用と考えられた.