著者
仲 弥
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.62-68, 2021 (Released:2021-07-03)
参考文献数
5

目的と方法:実臨床における爪白癬患者に対するホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物(ネイリンⓇカプセル,以下ホスラブコナゾール)の有効性および安全性を検討する目的で,2018年8月~2020年2月に当院を受診し,爪白癬の診断の下にホスラブコナゾールを処方された患者を対象としてカルテ情報を収集した. 結果:対象は爪白癬患者360例(足爪白癬340例,手爪白癬28例,そのうち両者の重複例8例)で,男女とも70歳台が最も多かった.ホスラブコナゾール12週投与を終了し投与開始から1年以上経過した足爪白癬84例における治療成績は完全治癒59例(70.2%),転帰不明22例(26.2%),無効3例(3.6%)であった.完全治癒は治療開始後3カ月と6~12カ月に確認できた例が多く,転帰不明例の多くはドロップアウト(最終来院)時に改善傾向を示していた.360例中ホスラブコナゾール12週の投与を完結できた症例は249例(69.2%)で,治験で除外されていた高齢者や若年者,手の爪白癬または難治な爪白癬に対しても本薬の高い有効性が認められた.投薬中の臨床検査にて260例中ALT/ASTは18例(6.9%)に,γ-GTPは61例(23.5%)に異常値を認めたが,皮膚症状など他の副作用を含め重篤な例はなかった. 結論:ホスラブコナゾールは実臨床においても完全治癒率と投与継続率が高く,肝機能検査など適切な対処により重篤な副作用を回避できることから,合併症などで内服が困難な例や外用薬で早期完治が期待できる例を除き,すべての爪白癬症例において早く確実に治すための第一選択薬として用いられるべき薬剤と思われる.
著者
仲 弥
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.163-167, 2012 (Released:2012-08-23)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1
著者
仲 弥
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.225-231, 2012 (Released:2012-12-15)
参考文献数
37
被引用文献数
2 1
著者
野口 博光 仲 弥 西尾 和倫 松田 哲男 中野 眞 比留間 政太郎
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.583-592, 2022 (Released:2022-09-22)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ホスラブコナゾール L-リシンエタノール付加物(ネイリン®カプセル,以下ホスラブコナゾール)は,日本で開発され,2018年より爪白癬治療に使用されている新規トリアゾール系抗真菌薬である.実臨床におけるホスラブコナゾールの有効性,安全性および治療継続率を検討する目的で,多機関共同後ろ向き観察研究を実施した.2019年6月から2020年4月までにホスラブコナゾールで治療を開始した350例の患者が登録された. ホスラブコナゾールの治療継続率は12週後で83.4%,48週後で32.6%であった.ホスラブコナゾール投与開始48週後の臨床的治癒率は78.9%,完全治癒率は57.8%であった.ホスラブコナゾール投与開始36週以降に臨床的治癒する症例が多かった.臨床的治癒までの期間の中央値は41.9週であった.副作用は350例中64例(18.3%)に76件認められ,そのうち15例がホスラブコナゾールの投与を中止した.重篤な副作用はなかった.臨床検査はホスラブコナゾール投与開始10週後までに実施された症例が多かった. 本研究の結果,実臨床におけるホスラブコナゾールの高い有効性と忍容性,および治療継続率の高さなどが確認された.ホスラブコナゾールによる治療は,患者のコンプライアンス・アドヒアランス維持に貢献すると思われる.