著者
野田 明生 伊藤 伸一 脇岡 徹 密川 守 仲摩 憲次郎 永田 見生
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.369-371, 2013-03-25
参考文献数
6

術後感染(SSI)は,患者の術後成績に大きく影響するだけでなく,術者にとってもその負担は大きく,最も避けたい合併症のひとつである.今回我々は,中規模救急病院における単年度のSSI発生について検討し,施設単位の総括的なSSI予防と対策について検討した.対象は2010年度一年間に手術を施行した360例.抗生剤は点滴によるセフェム系抗生剤を手術当日および術後1日間を原則とし,ガーゼ交換は術後一週目に行い,その間創部は開放せず,ドレーン抜去は創閉鎖のまま施行した.SSI発症率は360例中3例,0.8%で,うち2例は基礎疾患の無い若年者であった.起炎菌は1例がMRSAで,他の2例は同定不能であった.全例感染確認後早期に追加手術を行い,全例でSSIは治癒できた.若年者であっても感染の危険性は常に存在しており,一旦SSI発症が認められた場合は,躊躇せず追加手術を検討する必要があると考えられた.