著者
任 海
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1, pp.51-64, 2013-01-01 (Released:2017-12-02)
参考文献数
17
被引用文献数
1

中国では,1990年の土地使用権の譲渡に関する条例の制定とともに,急激に都市化が進行した.本研究は,中国上海市静安区大中里地域の市街地再開発を事例として,上海市内部での都市化の進展をミクロレベルで考察することを目的とする.再開発地域の居住者には,立退きに際し,金銭形式と住宅形式の二つの形式に基づく五つの補償方法が提示された.この再開発事業では,居住者に関するデータが一部公開されていることから,本研究では1,679世帯の里弄住宅居住者データを用い,居住者による五つの補償方法の選択状況を分析するとともに,移転先との関係を解明することを試みた.その結果,都市環状高速道路で形成される上海市の圏域構造が補償住宅の供給戸数の分布,居住者による補償方法の選択と移転先の決定と密接に関係していることが明らかになった.さらに,中心市街地の再開発と郊外新区の開発の連携は,都市人口分散の手段であることが裏づけられた.
著者
任 海
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.22-38, 2016-01-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
46

中国では,1990年代から上海市をはじめとする大都市で,都市更新の計画が制定されてきた.本研究では,上海市静安区を例として中国の大都市における都市更新が中心市街地内部で引き起こした土地利用の変化を調査し,その実態を詳細に地図化するとともに,小地域レベルで人口分布の変化と土地利用の関係を明らかにすることを試みた.その結果,静安区の都市更新では,スクラップ・アンド・ビルドによって,主に商品住宅と呼ばれる住宅が建設されたことが明らかになった.土地利用の類型化によると,静安区の小地域は6種の土地利用タイプで構成されており,区の北部は住宅地域であり,南部は業務地域と文化財地域である.小地域レベルで分析した結果,静安区においては一部の小地域の人口密度が都市更新前より高くなった.また,旧来の住宅が大規模に取り壊される一方,人口密度が保持されながら,大量の優れた建物が歴史文化財として保存された.
著者
舛本 直文 王 一民 任 海 MACNAMEE Micheal BARNEY Robert MACDONALD Gordon
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

2008年北京大会、2010年バンクーバー冬季大会、2010年シンガポール・ユース大会を対象に調査研究した。北京大会では国際聖火リレー問題および愛国主義教育との関連から平和教育が十分ではなかった。バンクーバー大会では国際聖火リレーの禁止およびオリンピック教育における平和運動の不十分さから平和メッセージの発信不足。シンガポール・ユース大会でも平和的メッセージの発信の不十分さ。以上が明らかとなった。