著者
鷲津 かの子 日下部 信幸
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.274, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 天然サポニンは医薬分野で使われているが、その界面活性や起泡性を利用して昔から世界各地で洗濯や身体の洗浄等に使用してきた。今日でも洗濯などに利用している国がある。わが国も石鹸が普及する明治時代以前は、むくろじやえごのきの果皮や、さいかちの鞘などに含まれるサポニンを使っていた。第二次大戦中の石鹸不足時も使われた。特に石鹸が使えない絹の洗濯にはサポニンのみで、綿や麻はわら灰の上澄み液を加えて使っていたと考えられる。本研究は天然サポニンの洗浄効果を石鹸や合成洗剤と比較して調べ、洗浄剤として利用できるか検討した。 方法 天然サポニンとしてえごのきとむくろじを用いて起泡性と人工汚染布の洗浄効果を調べた。アルカリは重曹とセスキ炭酸ナトリウムを使用した。2LPET容器に水500mlを入れ、天然サポニン0.5、1.0、2.0、3.0、5.0gを加えて1分間振り、5分後の泡高さを測り起泡性を調べた。その後、人工汚染布を入れて1分間振り、分光測色器で洗浄前後の反射率を測定し、洗浄効率を求めた。また、ラウンダオメータによる洗浄効率とも比較した。 結果 えごのきとむくろじの果皮は界面張力を低下させ、起泡性が大きい。また、水のみに対して天然サポニン液の洗浄効率は高く、重曹やセスキ炭酸ナトリウムを加えると石鹸や合成洗剤と同等かそれ以上の洗浄効率を示した。アルカリを加えたえごのきでは、0.5~1.0g使用した場合に最も高い洗浄効率を示すことが分かった。
著者
阿座上 瑞美 日下部 信幸
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.35, no.11, pp.626-633, 1994-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
3

本論文において筆者等はランジュバン形3周波単一振動子の超音波発生装置を用い, 織布に対する洗浄方法とその効果について実験的に得られた結果から超音波の最適洗浄について論じている.これらを箇条書にすれば, 次のようである.1) 洗浄効率は, 洗剤ベッセル内における音圧定在波とキャビテーションの相乗効果に関係する.2) 振動子の電気的インピーダンスとべッセルの機械的インピーダンスとの整合をとることが最適洗浄に対して重要である.3) 波源の指向性は, 洗浄効率に寄与する.4) 洗浄効果は, 洗剤とその液温に依存する.
著者
杉浦 愛子 森 俊夫 日下部 信幸
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.58, 2008

<B>目的</B> 衣服はその色や柄,形などを媒介に着用者の様々な情報を発信しており,衣服に用いられる柄はその情報を左右する重要な要因のひとつである.従来,縞柄や水玉柄といった基本的な柄について様々な研究が行われてきたが,複雑な要素をもつ柄について研究されたものはあまりみられなかった.本研究では,近年,色々な服飾品に取り入れられているアニマルプリント柄に注目し,アニマルプリントに対する嗜好性とテクスチャ特徴との関係について検討した.<BR><B>方法</B> 試料はレオパード柄やゼブラ柄,ホルスタイン柄などのアニマルプリント10種類である.嗜好性の評価は,被験者43名(男性20名,女性23名)を対象に,アニマルプリント柄の布の外観をカラースキャナで読み込み印刷したものを用い、官能評価を行った.また,テクスチャ特徴は,アニマルプリントのカラー画像を256階調のグレイレベル画像に変換し,輝度平均(MIU),角二次モーメント(ASM),コントラスト(CON),相関(COR),エントロピー(ENT),フラクタル次元(D)を抽出した.<BR><B>結果</B> アニマルプリントの嗜好性はテクスチャ特徴のうち,CORやMIUと高い相関がみられた.このことから,アニマルプリントは柄の明るさや線状性が高いものほど嗜好性が高く評価されると推察された.
著者
森 俊夫 淺海 真弓 野口 雅子 杉浦 愛子 日下部 信幸
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.485-490, 2007 (Released:2010-07-29)
参考文献数
5

The colored shadow phenomenon of polka-dotted patterns is investigated by applying image analysis. The purpose of our study is to evaluate how the achromatic color of polka-dots is perceived as having a slightly yellow hue which is the complementary color of blue when placed in a blue background. RGB images are converted to lightness (L*) images. Each pixel of L* image is assigned a gray-level value from 0 for black to 255 for white. The co-occurrence contrast (CON) is calculated for L* images. CON as a parameter for lightness contrast effect increases with the increase of the difference of lightness between the polka-dotted pattern (the test field) and the background (the inducing field), regardless of whether the lightness of the figure becomes higher or lower than that of the background. The degree of colored shadow of 30 kinds of polka-dotted patterns is evaluated by sensory evaluation, according to the rating-scale method, and the relation between their sensory-evaluation values and CON is examined. It is concluded that the colored shadow of polka-dotted patterns is enhanced with the decrease of the lightness contrast effect.
著者
伊藤 きよ子 日下部 信幸
出版者
東海学園女子短期大学
雑誌
東海学園女子短期大学紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
no.36, pp.95-101, 2000-12

紙を用いて色と幅の異なる2色配色のストライプ柄の試料36種類を作成し, 無地の試料と比較したときのイメージ差について検討した。その結果は以下のようである。ユ)ストライプ柄のイメージは明瞭・活動の因子, 評価の因子, 感覚の因子, 明るさの因子の4因子で表される。2)ストライプ柄の試料は, 色の明度が低いものほど, 無地の試料に比較し「強い, はっきりした, 活動的な, 派手な, 大胆な, かたい, 個性的な」イメージと評価され, 明度が高くなるほど無地とのイメージ差は小さくなる。3)評価の因子負荷量が高い「好き, 快, 美しい」の用語は, 色相の違いにより有意差の認められやすい用語であり, 赤系より青系のストライプ柄のほうが, 無地の試料より「好き, 快, 美しい」という評価がやや高い。4)「繊細な-大胆な」「痩せた-太った」の用語は, ストライプ幅の違いにより無地とのイメージ差が異なりやすい用語である。5)明瞭・活動の因子負荷量が高い用語では, ストライプ幅1.Ocm以下と1.5cm以上との間でイメージ差が表れやすい。以上, 無地の試料と比較することによりストライプ柄のイメージを検討してきたが, 今回は試料として紙を用いており, 衣服にみられる立体感や材質感は考慮されていない。これを今後の検討課題とし, さらに研究を積み重ねていく必要があると考える。
著者
伊藤 きよ子 日下部 信幸
出版者
東海学園大学
雑誌
紀要 (ISSN:02858428)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.39-48, 1993-09-01

24種類のフレアースカートを揺動させて官能検査を実施し, 揺動量および材料特性, フレアー分量との関係を検討した。その結果を要約すると, 次のようである。1)SD法によるイメージ評価をフレアー分量間で比較すると, 「すっきりした」「歩きやすそうな」を除く9種類のイメージ評価は, フレアー分量の大きいF_1が高く, フレアー分量の小さいF3は低い傾向にある。2)F_2は試料によりイメージ評価の差が大きい。3)「若々しい」「すっきりした」を除く9種類のイメージ用語は, いずれもフレアースカートの揺動美を表現する用語であり, 「美しい」という用語に置き換えることが可能である。4)ドレープ係数, 剛軟度, せん断剛性G, せん断ヒステリシス2HGおよび2HG5の各物性と揺動量は, 揺動美を表現するイメージ用語と関わりがあり, 各物性値が小さく, 揺動量の大きいフレアースカートは美的官能評価が高い。5)一対比較法による美しさと揺れやすさの官能評価では, 柔軟な試料であるポリエステルジョーゼット, ウールサージの評価が高く, かたい試料であるハードデニム, ソフトデニム, フラノの評価は低い。