著者
伊藤 瑞季
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1336-1342, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
8

電気は現代都市の人々にとって必要不可欠なエネルギーである。これまで電気事業の成立や技術的進展に関する研究は多く存在していたが、電気を使用する需要者の視点と実際に電気を消費する都市や建築の視点から検討した研究は稀であった。本研究はそのような問題意識を背景に、明治中期、我が国最初の電気事業者である東京電燈会社が東京市内において行なっていた電気供給と配電網、そしてその顧客であった需要者について、東京電燈会社の営業に関する文書史料を中心に復元・分析を行いその実態について明らかにしたものである。東京市内における電気供給には大口の需要者が市内各所に存在し、電気を要求する用途や機能も多岐にわたっていたことを明らかにし、そしてそれらの需要が配電網建設の要因となっていたことを示した。
著者
伊藤 裕久 菊地 成朋 箕浦 永子 伊藤 瑞季
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.97-108, 2015 (Released:2017-08-10)

本研究は,博多における地縁的結合の重層に注目しながら,個別の「町」と「流」の内部構造について社会=空間構造の実態と特性,さらに近代への変容過程について解明した。祭礼組織である「流」は近世を通じて地縁的結合の柱として行政機構の末端にも位置づけられていったが,明治期には行政区や学校区による新たな地縁的結合が形成されたことにより,再び祭礼組織として相対化されたことが明らかとなった。博多の社会=空間構造は,「流」による南北通を主軸とした構造から,近代の都市インフラの影響を受けつつ,行政区,学校区,商工人分布ともに東西通を主軸とした構造に変容していった。