著者
羽鹿 牧太 高橋 浩司 山田 哲也 小巻 克巳 高田 吉丈 島田 尚典 境 哲文 島田 信二 足立 大山 田渕 公清 菊池 彰夫 湯本 節三 中村 茂樹 伊藤 美環子
出版者
農業技術研究機構作物研究所
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-20, 2009 (Released:2011-03-05)

「なごみまる」は、大豆の主要アレルゲンの一つαサブユニットを欠失した大豆品種の育成を目標として、「タチナガハ」を母とし、αサブユニットを欠失する「α欠(I)(現在の「ゆめみのり」)」を父として交雑した系統に、「タチナガハ」を3回戻し交雑して育成した新品種である。大豆の主要アレルゲン蛋白質の一つであるβ-コングリシニンのαおよびα’サブユニットを欠失している。関東地域の主力品種である「タチナガハ」よりやや早生だが、ほぼ同等の収量性及び耐倒伏性を備えている。アレルギーリスクを軽減した豆乳等の大豆食品の原料として利用できる品種であり、2006年に「なごみまる」と命名し、種苗登録への出願を行った。
著者
西尾 善太 伊藤 美環子 田引 正 中司 啓二 長澤 幸一 山内 宏昭 広田 知良
出版者
北海道農業研究センター
雑誌
北海道農業研究センター研究資料 (ISSN:13478125)
巻号頁・発行日
no.69, pp.15-21, 2011-09

北海道では,2010年の夏季に統計開始以来の高温を観測し,秋まき小麦の収量が平年の65%に低下する大きな被害を受けた。このため,秋まき小麦品種「ホクシン」(軟質小麦)および「キタノカオリ」(硬質小麦)の収量構成要素と,生育温度の関係について,1997~201O年の14年間の結果を解析した。登熟期間の平均気温と,登熟日数(出穂から成熟までの日数)および千粒重の間には,強い負の相関が見られ,気温1℃の上昇によって,登熟日数は,両品種とも約2.6日短縮し,千粒重は,「ホクシン」が約2.2g,「キタノカオリ」が約1.9g減少した。5月下旬の平均気温と穂長の間には,両品種とも有意な負の相関が見られ,気温1℃の上昇によって,穂長は,「ホクシン」が約2.6mm,「キタノカオリ」が約4.3mm減少した。1997~201O年の月別平均気温の解析の結果,3月と6月および4月と8月の平均気温の間に有意な負の相関が見られ,4月の平均気温と,秋まき小麦の登熟期間の平均気温との間にも有意な負の相関が認められた。近年の北海道の春季と夏季の気温の間には,有意な負の相関が認められることから,今後も同様の気象パターンが継続すると仮定すると,春季が低温の年は,夏季の高温に対する警戒が必要となる。