著者
加藤 孝義 現代行動科学会誌編集委員会 KATO Takayoshi
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
no.25, pp.24-33, 2009

西欧の合理主義思想がもたらした現代社会のテクノロジーは、確かに人類の福祉・幸福に多大な恩恵をもたらした。しかし、これによる知性偏重の弊害が感性という人間性の側面を損なう負の遺産をもたらしたことも事実である。本論では、この抑圧されていたともいえる人間性を支える感性を復活させ、それと知性との調和的統合こそが、来るべき世紀の人間像として重要な意義をもっているという新しい人間観を、知性と感性の相互関係のモデルを試論的に考え提案した。
著者
定島 尚子 現代行動科学会誌編集委員会
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-5, 1995-09-01

お盆やお彼岸に先祖の墓参りをする人がクリスマスを祝い、その一週間後には神社に初詣でに行く…。私たち日本人の生活では、神道の要素、仏教の要素、キリスト教の要素が混在している。私達にとって宗教とは、神とは、どのような存在なのだろう。かつてイザヤ・ベンダサンは、「日本人は日本教徒等という自覚は全くもっていないし、日本教等という宗教が存在するとも思っていない。…(中略)…しかし日本教という宗教は厳として存在する。これは世界で最も強固な宗教である。というのは、その信徒自身すら自覚せぬまでに完全に浸透しきっているからである」(1)という指摘をしている。とすれば、"日本教"の教義、即ち、日本人の信仰形態の基底となる意識とはなんだろう。日本人の神観念の特徴の一つに"神人合一観"があると言われるが、私はこの言葉に深い興味を覚えた。つまり日本人にとって神霊は、極めて身近な存在と観念されているが故に殊更に意識することが無いのではないか、と考えたのである。こうした観念こそが、私達自身にさえ自覚し得ない程に深く浸透している宗教の基になっているように思える。そこで本研究ではこうした観点から日本人の神観念について考察していくことにする。
著者
会誌編集委員会
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.594, 2016-09-05 (Released:2017-01-09)

物理学70の不思議フェルミ粒子系の数値計算はなぜ難しい?:負符号問題
著者
藤沢 佳充 現代行動科学会誌編集委員会
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
no.16, pp.19-28, 2000

心的イメージ研究が「復活」を果たした1960年代後半以降、認知心理学においては心的イメージや夢、空想、白昼夢などといった「心の中」で生じる現象に関する研究が数多く行われるとともに、その研究の持つ重要性も広く認識されるに至っている。これらの心的現象は感覚・知覚と異なって外部からの刺激とは独立に生じるものであることから、Antrobus(1968)やSinger(1988)はそれらを総称して"刺激独立型思考(stimulus-independent thought)"という名称を与えている。そして刺激独立型思考の現象的特徴(特に心的イメージの現象的特徴)を中心とする多くの問題が明らかにされてきているが、一方でその産出過程については未だ解明されていない点が多い。今回本研究で取り上げる刺激独立型思考の産出過程と注意資源の配分の関係に関する問題も、それら未解明の問題の1つである。 一般に我々は、周囲の状況が目まぐるしく変化する場合よりも、変化の少ない単調な状況にいる場合のほうが空想をしたり、白昼夢を見たりする、すなわち刺激独立型思考を産出することが多い(Antrobus, Snger, & Greenberg, 1966)。また、我々が刺激独立型思考を産出しているとき、それにあまりに没頭していると周りの状況の変化に気づかないことがある。これらの事実は、刺激独立型思考は外部に注意を向ける必要が少ない場合に、そして心の内部に注意を向けている場合に産出されるということを示しているように思われる。これに関連する知見として、例えばRichardson(1994)は、刺激独立型思考の1つである心的イメージの産出には心の内部に注意を向けることが必要であると述べているし、またTellegen & Atkinson(1974)もイメージや空想などに没頭する人ほどそれらにより多くの注意を向ける傾向が強いとしている。 これらのことから、刺激独立型思考の産出過程と注意との間には密接な関係があると推測することができる。しかしながら、残念なことにこの推測は大きな弱点を抱えている。なぜなら、上に挙げた例やRichardsonらの主張はあくまで経験的な事実に基づくものに過ぎず、実験による十分な検証を受けたものではないからである。刺激独立型思考の産出にとって、心の内部に注意を向けることが本当に必要な条件なのか。反対に、外部に注意を向けているときには刺激独立型思考の産出は行われないのか。刺激独立型思考と注意との関係を明らかにするためにはより詳細な実験的検討が加えられなければならない。
著者
会誌編集委員会
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.80-80, 2017-02-05 (Released:2018-02-05)

物理学70の不思議素粒子の世代はどこまでもくり返すのか?
著者
細江 達郎 現代行動科学会誌編集委員会
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.6-10, 1995-09-01

概ね行動科学の実証的方法は研究者が対象者になんらかの刺激を与えそれに対する反応を問う形をとる。研究活動が研究者の自ら設定する枠組みにそって対象に接近するという自覚的な活動であるかぎり、当然な営みであることといえる。しかし、ほとんどの実験科学において当然視されているこの方法に関して、こと人間を対象とする分野においては問題無しとはされない。それどころか特に人間関係やその相互影響を主たる対象とする社会心理学では、いわゆる社会心理学の危機論争の中で、実験の人為性や非日常性といった批判を受けることとなる。その論争の中で示されたものの一つに実験的方法以外の看過されてきた手法の見直しがある。すでに1966年にWebb,J.E., et al.がUnobtrusive Measures : Nonreactive Research in the Social Sciences という示唆的な書を出しているが、必ずしも十分知られた立場とはいえない。ここではそういった論議に沿いながら、この立ち場を紹介するともに、特に観察法について触れ、その応用可能性について考察する。
著者
佐藤 文子 山口 浩 現代行動科学会誌編集委員会
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
no.24, pp.12-26, 2008

PIL(Purpose-In-Life Test)はロゴセラピーの理論に基づき実存的欲求不満を測定する心理検査である。日本版PILではPart Aの質問紙法に加えてB(文章完成法)、C(自由記述)も数量化し標準化した。原案者のクランバウら1,3)はPIL得点は年齢要因とかかわりないと述べ、すべての年齢に共通する判定基準を示している。しかし日本版ではPIL得点に年齢要因が関与することが示唆され、'93のマニュアル12)、'98の改訂版13)いずれも年齢段階別の判定基準を設定してきた。しかしこれまでは高齢者のデータが少なく、年齢に若干偏りがあったこともあり、65歳以上はT値換算ができずにいた。'08の改訂15)では高齢者群データを補充し、年齢を今まで以上に厳密に統制して妥当性を再検討した。その結果、総得点では成人群と高齢者群の間に有意差は見られなかった。他方判定基準の設定に際しては主として総得点分布から35歳未満と36歳以上の2群に分けることになった。今回はA,BC共通に2群に分けたので、テストとしてはわかりやすくなったが、妥当性検討は総得点についての統計的分析に基づくもので、年齢要因の意味的側面についてはマニュアル、ハンドブックでは十分には論じられていない。 PILデータと年齢要因との関連について検討の必要な課題を整理してみると、 ①年齢を統制しての妥当性の検討に際して、10歳刻みでそれぞれの年齢段階の総得点の有意差を検討し、いくつかの年齢群に分けて妥当性を検討したが、年齢段階と得点差の関連については、'08のマニュアルおよびハンドブックでは充分に考察されなかった。 ②判定基準の設定に際しては総得点の分布の統計的な検討に加えて臨床的経験的解釈も加味して35歳以下と36歳以上の2つの年齢群に分けたが、この区分のロゴセラピー的意味については充分に論じられていない。 ③PILの解釈はA,BCの総得点の差のみでなく、BCの下位評価項目得点プロフィールや記述内容なども考慮してなされるが、これらの側面についての年齢要因の検討はマニュアル、ハンドブックではほとんどふれられていない。 本論文では総得点に加えてPIL得点を構成している諸側面に年齢要因がどのように影響しているかを検討し、それはロゴセラピー理論の観点からどのように解釈されるかを考察する。そのためにⅡでロゴセラピー理論において年齢要因が意味・目的経験にどのようにかかわると考えられているのかをフランクルならびにロゴセラピー関連の文献から検討する。次いでⅢでこれまでのPILデータを年齢要因あるいはライフサイクル論を考慮した群間で検討し直す。具体的には、(1)'08改訂のデータの年齢段階別の結果を再検討し問題点を整理する。(2)標準化データから年齢およびライフサイクル論を考慮していくつかの群を抽出し、①PILの標準的分析、②BC・人生態度局面の類型化の比較、③一般的人生態度と過去の受容・意味づけとの関連の群による特徴をPIL-B-2およびB-4項目の内容分析から検討する。
著者
会誌編集委員会特集担当委員
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, 1990-01-01

あけましておめでとうございます。本年も興味ある特集を組むために努力して参ります。どうぞよろしくお願いもうしあげます。