著者
住吉 和子 田中 千晶 中村 まどか 山下 祐梨 中尾 美幸 入江 康至 中島 伸佳 山辺 啓三
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 = BULLETIN OF FACULTY OF HEALTH AND WELFARE SCIENCE, OKAYAMA PREFECTURAL UNIVERSITY (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.9-14, 2018-03-12

甘酒とブドウ糖液の摂取が血糖値・血中インスリン値に及ぼす影響を確認することを目的に女子大生4名を対象に、甘酒とブドウ糖摂取前と摂取後30分、60分120分の血糖値と血中インスリン値の変化、血糖値と血中インスリン値の時間曲線下面積、インスリン分泌指数をシングルケーススタディで比較した。その結果、血糖値と血中インスリン値、血糖値と血中インスリン値の時間曲線下面積、インスリン分泌指数において、甘酒摂取群とブドウ糖摂取群で統計的な有意な差はみられなかった。4名のうち2名が甘酒とブドウ糖摂取後の血中インスリン値の急な増加がみられ、そのうち1名は血縁に糖尿病患者があることから、糖尿病患者および予備軍は、甘酒を摂取することにより血中インスリン値の増加や血糖値の上昇がみられる可能性があり、血中インスリン値の節約には繋がらない可能性が示唆された。
著者
住吉 和子 中尾 美幸
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.36-40, 2017 (Released:2017-08-28)
参考文献数
14

女子大生18名 (甘酒群11名, 対照群7名) を対象に, 甘酒の摂取が便秘に及ぼす影響を明らかにするために, 2週間150mLの甘酒を摂取してもらった. 実験は倫理委員会承認後に本人の了解を得たうえで開始した. 効果の評価は, 日本語版便秘評価尺度 (以下MT-CAS), 排便頻度, 便秘の辛さを用いて, 便秘尺度の得点, 排便頻度, 排便の辛さの得点をWilcoxsonの符号付き順位検定を用いて, 甘酒群と対照群をそれぞれ比較した. 排便の頻度は, 甘酒摂取群が有意に改善し (P=0.046), MT-CASの合計得点 (P=0.009), 「便の回数」 (P=0.025) で有意に改善していたが, 排便の辛さは両群に有意な差はみられなかった. 以上の結果から, 1日1回の甘酒の摂取により, 便秘が改善される可能性があることが示唆された.
著者
住吉 和子
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.食事摂取量を把握するための質問項目と、認識を把握するための質問項目の抽出医学中央雑誌、Medlineを用いて「食事調査」「認識」について検索を行い、食事摂取量を簡単に把握するための質問紙の検討を行った。使い捨てカメラを用いて1週間分の食事をすべて撮影してもらい、終了時に作成した質問用紙に答えてもらい、質問紙の精度を確認した。認識については、文献の自尊感情など既存の尺度と昨年のインタビューの結果から検討し、糖尿病性腎症に特有な項目を加えて質問項目を抽出した。2.糖尿病外来における糖尿病性腎症患者の事例検討O大学附属病院の糖尿病外来に通院している糖尿病性腎症と診断された3名について、昨年のインタビューから得られた結果をもとに、介入を行った。認識について共通していたのは、この先どうなるのかという将来への不安、「不確かさ」であり、このことについては、医療者にも家族にも相談できないで一人で抱えていた。この不確かさが、内服を中止したり、食事を今までどおりの内容で摂取したりという行動に繋がっていることが明らかになった。3名のうち1名は、「不安はあるけどできるだけ生活を楽しみたい」と前向きに考えているため、病院で指導されたとおりでなく、まず食べたいものを少しは食べて、平均的に塩分の摂取量や蛋白質の摂取量を調節するなど工夫をしており、結果として病状は安定していた。糖尿病教室など患者間の交流が自己管理行動を継続するための大きな要素となるが、糖尿病性腎症を合併した人には患者がお互いに交流する機会がないことも自己管理行動の継続を困難にしている要因であると考えられる。また食事療法については、既存の報告と同様に、患者自身が受け入れて生活に取り入れるまで約3年の月日が必要であることが確認できた。3.今後の課題今後の課題として、保存期にある腎不全患者が、健康を維持するために医療者や患者間で気軽に悩みを話すことができる場が必要である。蛋白制限に変更になった患者に医療者の関わり方についても検討する必要が示唆された。