著者
佐藤 吉秀 川島 晴美 佐々木 努 奥 雅博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.203, pp.1-6, 2005-07-15
被引用文献数
2

逐次増加するニュース記事中に含まれる話題情報を効率的に把握するため, 新鮮で可能な限り多くの幅広い話題情報を最新話題語と呼ぶキーワードの形態で抽出する手法について報告する.ニュース記事中の話題を扱うにあたり, 世間の注目度が高い出来事を伝える記事数が増加する「話題の広がり」と, 広がり状態が続報記事発行によって時間的に持続する「話題の伸び」の2つの側面に注目する.提案手法では, 話題の整理のために記事をジャンル分類・クラスタリングした後, 記事のタイムスタンプから算出する記事新鮮度, および記事間類似度を用いて各クラスタを代表する最新話題語を抽出する.ニュース記事(2164記事)を対象にした評価実験の結果, 提案手法はクラスタ中の新鮮かつ代表的な話題を表し, さらに受容性も高い語句を抽出可能であることを確認した.
著者
赤松 茂 佐々木 努 深町 映夫 末永 康仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.1363-1373, 1993-07-25
被引用文献数
48

本論文では,濃淡画像のマッチングによる画面顔画像の識別に関して,顔の造作を基準点として切り出された照合パターンを識別に有効な低次元の特徴ベクトルとして表現する方法について考察する.代表的な従来手法として,濃淡パターンのモザイク化と顔パターン集合のKL展開による次元圧縮の二つを取り上げ,各々の問題点を考察した.その結果を踏まえて,照合パターン抽出に不可避な位置ずれ変動に対してよりロバストな識別用特徴を得るために,幾何学的な不変変換の一つであるフーリエスペクトルへの変換の後にKL展開によって次元圧縮を行う方法を提案した.この3種類の特徴の識別における耐性を比較するために,種々の幾何学的変動を与えた照合パターンのテストサンプルに対して最小距離法による識別を行った.また多様な照明条件下で得られる多数の顔画像パターンを,3次元計測した頭部モデルからCGを用いて生成し,それらのパターンから得られる各特徴データのクラス間分離度によって特徴の識別能力を比較評価した.以上の結果から,新たに提案した特徴は従来法と比べて,顔の姿勢や照明条件の変動に対して安定した識別能力をもつことが確かめられた.
著者
加藤 伸彦 佐藤 直樹 和田 龍彦 黒田 聡 米岡 宗臣 佐々木 努
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

医療者の職業感染の防御に重要な役割を担っている手術用手袋の術中破損について検討を行い,その主要結果について本学会誌等をとおして報告してきた.とくに,演者らの研究グループで開発された三端子法を用いた高精度電気インピーダンス測定法の実用性の確立化,またこれを用いた手術用手袋の経時的変化,すなわちピンホール開穴の有無とその程度などの検討結果から、手術時間が2時間を超えると手袋にピンホールが発生しはじめ,6時間を超えると30%以上の手袋がバリア性に破綻をきたすことを証明した.感染防止を考えるとき,手術使用による手袋の材質変化,とくに手袋の化学的かつ経時的変化に関する検討は,無視することのできない重要課題である.本報告では,残された問題の一つである手術用手袋の経時的な厚みの変化,すなわち手術中の血液,脂肪成分等を含む体液の浸食により,手袋の厚みがどのように変化するかを検討した.その結果,いくつかの新知見を得たので報告する.なお,測定対象の手袋は,当院手術部にて手術に使用した使用済み手袋で,手術時間別の数十検体について,マイクロメータを使用してその厚さを測定した.比較対象の未使用手袋については,厚さ測定の結果から,無負荷時(テンションを加えていない状態)で220〜270μ(使用上を考慮して指部・手掌部・裾部では異なる),使用時の最も伸展した状態を想定(約5kg負荷)した場合では120〜170μであった.厚みの経時的変化に関するデータ蓄積は,手術時の手袋のピンホール開穴時期を考慮するときの主要情報の1つであることが明確となった.