著者
武川 直樹 佐々木 寛紀 木村 敦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J98-A, no.1, pp.93-102, 2015-01-01

本論文では,会話の順番交替時の沈黙場面において見られる音声フィラー(「えーと」,「うーん」など)と動作フィラー(髪にさわる,顎に触るなど)に着目し,これらのフィラーが沈黙の状況を修復するための役割を調べる.人同士の会話の観察結果に基づきCGキャラクタの会話シーンを作成し,作成した動画シーンを刺激として沈黙中のフィラーが伝える意味を第三者が主観評価し,沈黙におけるフィラーの役割を明らかにする.評価の結果,フィラーの表出は会話の継続に向けての誠意を示すとともに,次の話者が誰になるかを予測させることが示唆された.この成果は会話エージェント・ロボットが人と会話を行うときにより適切で丁寧な応対をするための動作デザインの第一段階として寄与するものである.
著者
大沼 美由紀 木村 敦 佐々木 寛紀 武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.46, pp.155-160, 2012-05-15

本研究はSNS利用が既存友人との対人トラブルに及ぼす影響について日本人青年男女を対象とした2つの調査により検討した.調査1ではSNS(mixi,Facebook,Twitter,その他)ユーザを対象とし,SNSでの既存友人との交流において対人トラブルを経験したことがあるかどうかについて,トラブルの種類,およびSNSのどのようなツール・機能がトラブルに関わったかを開放型質問を用いた調査により検討した(N=41).その結果,約70%のユーザがSNSで既存友人とのトラブルを経験したことがあると回答した.また,とくにmixiでの日記・つぶやきに記載された本人や友人に対する悪口が対人トラブルの原因となることが多いことが示唆された.調査2では,調査1で抽出された主要なSNS(mixi)での対人トラブルが,SNSでの交流に特有のものかどうかを定量的調査により検証した(N=92).その結果,気分を害するような否定的発言をする友人は対面時よりもSNSでより多くそのような否定的発言をすると感じる傾向が示された.