- 著者
-
品川 邦汎
国田 信治
佐々木 寧
岡本 晃
- 出版者
- Japanese Society for Food Hygiene and Safety
- 雑誌
- 食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, no.6, pp.431-436, 1979-12-05 (Released:2010-11-30)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
-
12
12
1973年6月から1978年10月にかけて大阪府下で米飯煩を原因食とするB. cereus食中毒7事例が発生した. 4事例は焼めし, 2事例は弁当, 1事例はにぎりめしが原因食品であった. 潜伏期が0.5~4時間 (平均2時間) で嘔気, 嘔吐を主症状とする嘔吐型が6事例, 2~12時間 (平均10時間) の潜伏期で下痢を主徴とする下痢型1事例であった.対照として食中毒とは関連のない生米, にぎりめし, 巻ずし, いなりずしのB. cereusによる汚染の実態を調べた結果, 生米の65.9%がB. cereus陽性で, 菌数はほとんど102/g以下であった. にぎりめしは65.5%が陽性で菌数は102~104/gのものが多かった. すしは41.5%が陽性で, 菌数はほとんど102/g以下であった.食中毒事例, 生米およびにぎりめし, すしなどの米飯類から分離したB. cereusの性状を比較した. 食中毒由来菌株は100%デンブン分解性陰性であったが, 生米由来菌株では16.7%, 米飯由来菌株では61.8%が陰性であった. 各分離株の芽胞の熱抵抗性を比較した. 食中毒由来菌株の全ては, 90℃, 60分, 100℃, 10分, 30分, 105℃, 5分の加熱ではすべて耐えた. 生米由来菌株では, 90℃, 60分に耐える菌株は92.9%, 100℃, 10分では26.2%, 100℃, 30分では9.5%, 105℃, 5分では7.1%であり, 一方, 米飯由来菌株では, 90℃, 60分に耐えるもの97.0%, 100℃, 10分では70.1%, 100℃, 30分では38.8%, 105℃, 5分では32.8%が耐え, 分離株の由来により, 芽胞の熱抵抗性に明らかな差が見られた.