著者
浅枝 隆 田中 規夫 谷本 勝利 Tilak PRIYADARSHANA Jagath MANATUNGE
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.670, pp.73-82, 2001-02-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
23

水生植物は被捕食者に対し捕食者からの隠れ場を提供し, 捕食者の行動に影響を与えるため, 動物プランクトン食魚 (モツゴ) の捕食ならびに遊泳行動を, 餌 (ミジンコ) の密度変化 (0.5, 1, 2, 5, 10, 25 prey・1-1) と沈水型人工植生の密度変化 (350, 700, 1400, 2100, 2800 stems・m-2) のもとで, 実験により調べた. 遊泳速度は抱腹の程度に大きく関係し, かつ餌の密度が増えると減少する, 最大捕食率は平均餌間隔に大きく依存し, それとともに変化する. 植生密度が徐々に増加すると, 植生がない場合に比べて捕食者の捕食効率が減少する. 捕食率と遊泳速度は平均植生間隔と魚の体長の比で良く表現できる. 捕食ならびに遊泳活動は, 魚の1回の移動距離である体長の0.7倍付近で急激に減少することが判明した.
著者
五十嵐 善哉 座波 健仁 田中 規夫 佐藤 創 鳥田 宏行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_229-I_234, 2018 (Released:2018-11-10)
参考文献数
17

防潮林は,津波に対して流体力低減や浮遊物捕捉などの効果を持つ.その一方で,樹木が破壊され流木化し家屋への被害を増長するリスクも有する.樹木が流木化せずその場にとどまる転倒破壊であれば,津波に対する抗力低減効果と捕捉効果は期待できる.樹木の胸高直径が太ければ破壊されにくくなるが,生育のためには定期的に密度を小さくする必要があり,間伐が行われる.本研究は,樹木破壊を高精度に取り入れたモデルを使用し,北海道のクロマツ間伐条件で生育した防潮林のデータにより,津波減勢効果と樹木破壊状況を評価することを目的とした.樹木破壊の観点では,間伐により樹木を十分に育てて胸高直径,枝下高を大きくした方が良いが,津波減勢の観点では,樹林帯の厚みが大きくなるように,ある程度密度があり,枝下が高くない条件が最もよい.
著者
佐々木 寧 田中 規夫 湯谷 賢太郎 ホモチュエン サマン
出版者
埼玉大学工学部
雑誌
埼玉大学紀要. 工学部 第1編 第1部 論文集 = The Science and Engineering Reports of Saitama University (ISSN:18804446)
巻号頁・発行日
no.38, pp.49-57, 2005

This study reports the damage at the coastal area in south Thailand by Indian Ocean Tsunami occurred at Dec.26.2004. The investigated area covered about 250 km at Andaman seaside from Phuket to Ranong. For elucidating the effect of vegetation on tsunami protection, the representative vegetation was classified according to the stand structure of the tree. The representative trees were classified into five and their stem diameter (d), tree height, branch structure, density of the trees and the forest-width to the Tsunami-direction were investigated. From the survey, mangrove, especially Rhizophora apiculata forest, was effective to protect Tsunami damage with its complex root structure. Anacardium occidentale was also effective with its large diameter branches at low height from the ground level. On contrary, Casuarina equisetifolia has assumed little effect to reduce the velocity when their diameter grow large (d>0.5m) with large stem-spacing (7-30m).
著者
田中 規夫 DAS SHAMAL Chandra DAS SHAMAL Chandra
出版者
埼玉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

バングラデシュ国における側岸侵食の実態と現状で行われている対策方法、堤防被覆に使用可能な植生(草本・木本)を整理した。また、高潮時における被災事例の把握をもとに、堤防や盛土法面を被覆し侵食を防止する植物としてのベチベル草を選定し、水理模型実験の粗度としてモデル化し、堤防を越水する流れに及ぼす草本や低木の効果を定量評価するための実験を行い、せん断力低減効果を評価した。また、側岸侵食防止効果について、高水敷上の水制の長さ・間隔や傾きをパラメータとして、流速低減域と加速域がどのように変化するかについて、水理模型実験を行い、それを表現する数値モデルの開発を行った。さらに、樹木の倒伏限界値の把握に関して、荒川明戸地点・荒川板橋地点・高麗川にて行った樹木引き倒し試験の比較検討を行った。特に、荒川板橋地区にて行った引き倒し試験結果を詳細に解析した.その結果,地上部体積を表すパラメータが転倒限界モーメントMmaxを精度良く表現すること、根茎構造(浅根型,深根型)の相違による根鉢のサイズ(根鉢の表面積および体積)が転倒限界モーメントに大きく影響していること、転倒限界モーメントには地盤の粘着性が大きな影響を与えることなどを明らかにした.樹林帯の高潮減災効果については、数値モデル解析を行い、バングラデシュに存在するマングローブ樹種の効果について、樹林幅・樹種などによる相違を解析した.特に緩勾配条件化では2つの樹種を組み合わせることで高潮に乗っている高波成分の流速の低減には有効であることを示した。
著者
田中 規夫 湯谷 賢太郎
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は(1)ヒメガマとマコモの刈取り後の生長特性の比較と、(2)ダメージを受けたヨシとオギの競合優位性の変化の解明、の2点に大きく分けられる。ヒメガマの地上器官に対する水面上時期別刈取りを2003年5,7,8月に,マコモの7月刈取りを2003年に実施した。刈取りの影響は刈り取った後の葉の再成長特性,地上部・地下部バイオマス,芽の特性,地上部・地下部中のTNC含有率の動態により,両種の戦略の相違を把握した。2003年7月刈取りの影響を同年12月における地下茎量で調査したところ,ヒメガマは刈取らない場合より約30%減少したのに対し,マコモはほとんど減少しなかった。ヒメガマは茎の根元に形成される芽の構成率を拡大に関連する芽に比して大きく減少させたのに対し,逆にマコモは増加した。刈り取られたシュートを急激に再成長させるヒメガマとは対照的に,マコモは一次シュートの再成長に加え,その場の占有を高める二次シュートを多数成長させ地下茎量を維持している。生長モデルの応用に関連して、ダメージを受けたヨシとオギの優位性の変化を解析した.オギ・ヨシともに折れる規模の洪水を導入した場合,洪水導入間隔1年であれば両種とも群落の維持が危うくなる.洪水導入間隔が2〜5年程度であれば,混成群落が続く可能性があり,洪水間隔が大きくなると,オギの優位性が回復しヨシはオギに駆逐される可能性がある.そして自然再生を図る上で洪水導入を検討するのであれば,洪水間隔2〜5年が適当であり,ヨシのみが折れる規模の洪水導入は避けるべきであるといえる.