著者
上田 成子 小沼 博隆 品川 邦汎 桑原 祥浩
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.249-255, 1996-03-20 (Released:2010-07-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

国内外産の原料大豆と市販豆腐におけるB. thuringiensisの汚染状況を調査するとともに, 原料大豆から豆腐を試作し, その製造・保存過程でのB. thuringiensisの消長を検討した.その結果は以下の通りであった.1. B. cereus/thuringiensis菌数は国内外産の大豆とも, その多くが102cfu/g以下であり, 102cfu/g以上の菌数を有するものは外国産137検体のうち31%, 国内産43検体のうち14%であった.また, 豆腐試料については30検体のうち16%が102cfu/g以上の菌数を有していた.2. B. thuringiensisは180検体の大豆試料のうち39検体から検出され, 7, 5a5b, 3a3b3c, 11a11c, 22を含む14種の血清型が型別された.外国産大豆では137検体のうち29検体が7, 5a5b, 11a11c, 3a3b3c, 5a5cをはじめとする12種の血清型を有し, また国内産では43検体中10検体が22, 3a3b3c, 4a4d, 6a6c等の6種の血清型を有していた.3. 豆腐については3検体から, その浸漬水については2検体から, 血清型3a3b3cのみが検出された.4. 各試料から分離された各血清型のB. thuringiensis菌株の下痢毒および推定嘔吐毒産生能はいずれも弱かった.5. 原料大豆に下痢毒産生性のB. thuringiensis, Kurstaki (3a3b3c) の芽胞を接種して作製した豆腐には若干のB. thuringiensisが持ち込まれることを示した.また, この豆腐を種々温度下で保存した場合, 4℃では48時間までB. thuringiensisの増殖は認められず, 20℃では6時間までは増殖しなかったが, 24時間後には急速に増殖することを示した.また, 30℃で保存した場合には保存後から徐々に増殖し, 48時間後には108cfu/gを超え, 豆腐に下痢毒が確認された.
著者
松坂 尚典 佐藤 至 西村 義一 志賀 瓏郎 小林 晴男 品川 邦汎
出版者
岩手大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

実験動物(マウス及びラット)に放射性亜鉛(Zn-65)及び放射性マンガン(Mn-54)を投与して、胎子、胎盤、胎膜における両核種の取り込みを追跡した。さらに、妊娠末期のラットに両核種を投与したのち分娩させ、在胎中に胎盤を経て胎子に移行した両核種の量と、生後に新生子が母乳を介してもらい受けた量を調べた。1.妊娠17日のマウスにZn-65及びMn-54を1回静脈内投与したのち、24時間目における胎子の取り込み量を調べたところ、それぞれ1腹あたりで36%及び9%となった。すなわち、マウス胎子におけるZn-65の取り込みは、Mn-54のそれよりも約4倍ほど多くなることが観察された。2.妊娠0日、7日、14日のマウスに両核種を1回皮下に同時投与して、分娩直後の新生子における取り込みを調べた。分娩直後の新生子におけるZn-65の取り込み量は、妊娠0日、7日、14日群で、それぞれ1腹あたりの値が11%、12%及び28%となり、妊娠初期に投与された場合よりも妊娠後半に投与された場合の方が、胎盤を経て在胎中に取り込まれた量が多くなった。Mn-54でもほぼ同様の傾向が認められたが、分娩直後の新生子における取り込み量は、Zn-65に比べて1/3から1/4となった。3.妊娠末期のラットにZn-65を1回投与したのち分娩させ、分娩直後の新生子における取り込み量を測定した。そののち、同日に分娩したZn-65無投与ラットの新生子と一部交換して哺乳させた。分娩直後の新生子には投与量の3%(1腹あたりでは約30%)が取り込まれており、さらに離乳するまでには母乳を介して1.5%(1復あたりでは約15%)が移行した。Mn-54についても、ほぼ同様の傾向が認められた。これらの結果から、Zn-65及びMn-54に関しては、胎児への経胎磐移行とともに、母乳を介する汚染経路が重要であると考えられる。
著者
品川 邦汎 国田 信治 佐々木 寧 岡本 晃
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.431-436, 1979-12-05 (Released:2010-11-30)
参考文献数
13
被引用文献数
12 12

1973年6月から1978年10月にかけて大阪府下で米飯煩を原因食とするB. cereus食中毒7事例が発生した. 4事例は焼めし, 2事例は弁当, 1事例はにぎりめしが原因食品であった. 潜伏期が0.5~4時間 (平均2時間) で嘔気, 嘔吐を主症状とする嘔吐型が6事例, 2~12時間 (平均10時間) の潜伏期で下痢を主徴とする下痢型1事例であった.対照として食中毒とは関連のない生米, にぎりめし, 巻ずし, いなりずしのB. cereusによる汚染の実態を調べた結果, 生米の65.9%がB. cereus陽性で, 菌数はほとんど102/g以下であった. にぎりめしは65.5%が陽性で菌数は102~104/gのものが多かった. すしは41.5%が陽性で, 菌数はほとんど102/g以下であった.食中毒事例, 生米およびにぎりめし, すしなどの米飯類から分離したB. cereusの性状を比較した. 食中毒由来菌株は100%デンブン分解性陰性であったが, 生米由来菌株では16.7%, 米飯由来菌株では61.8%が陰性であった. 各分離株の芽胞の熱抵抗性を比較した. 食中毒由来菌株の全ては, 90℃, 60分, 100℃, 10分, 30分, 105℃, 5分の加熱ではすべて耐えた. 生米由来菌株では, 90℃, 60分に耐える菌株は92.9%, 100℃, 10分では26.2%, 100℃, 30分では9.5%, 105℃, 5分では7.1%であり, 一方, 米飯由来菌株では, 90℃, 60分に耐えるもの97.0%, 100℃, 10分では70.1%, 100℃, 30分では38.8%, 105℃, 5分では32.8%が耐え, 分離株の由来により, 芽胞の熱抵抗性に明らかな差が見られた.
著者
佐藤 至 松坂 尚典 西村 義一 品川 邦汎 小林 晴男
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.289-292, 1993-05-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
11

In order to estimate the availability of zeolite, one of the inorganic ion exchangers, as an eliminator for the incorporated radionuclides, wholebody retention of intraperitoneally administrated 54Mn and 65Zn was measured in mice fed a zeolite-added diet at 10 per cent. Wholebody retention of 54Mn and 65Zn was decreased significantly faster than control, and the biological half-life of them was also reduced to 11.3 and 12.7 days, respectively, from 14.1 and 16.8 days in controls. The results suggest that oral administration of zeolite is effective to eliminate the incorporated 54Mn and 65Zn, and if it is used in combination with the chelation therapy of DTPA, it will be more effective.