著者
桑野 靖子 河原 ゆう子 佐宗 洋子 小林 由実 山中 なつみ 小川 宣子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.2, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】加水量,加熱方法,加熱工程の異なる炊飯方法で調理された飯について,甘みと香りの官能評価に対する理化学的な測定値に相関性があるか否かを検討した。 【方法】圧力IH炊飯器,IH炊飯器,ガス炊飯器の3機種で調理された飯とガス炊飯器の飯と同じ硬さとなるよう加水量を調整した飯の4種類を対象に,甘みの評価値として,糊化度と唾液アミラーゼによる人工消化後の還元糖生成量を測定した。香りの評価値として,主要な臭気成分量を定量化し,閾希釈倍数を算出した。官能評価は40歳代女性36名を対象に,各理化学的評価に対応した指標による評価と好みを炊きたてと炊飯後常温で4時間放置した飯(以下冷や)に対して行った。 【結果】「甘み」評価において,糊化度では飯間に差はなかった。人工消化による還元糖生成量ではガス炊飯器の飯とIH炊飯器の飯が有意に多かったが,官能評価ではガス炊飯器の飯と加水量を調整した飯の甘みが強いと評価され,IH炊飯器の飯は最も甘くないと評価された。ごはんの甘み評価には,ごはんの表層部と内部の水分量の違いが関与していると考えられる。「香り」評価手法については,炊きたてと冷やの違いは確認できたが,機種間の違いまでは確認できなかった。