著者
佐田 務
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.686-688, 2009 (Released:2019-06-17)
被引用文献数
1

新聞やテレビなどのマスメディアは原子力について,マイナスの側面だけを強調して報道することがある。また原子力に携わる人の間では,そのような報道が,原子力に対する世論醸成に悪い影響を与えるとの懸念が示されることがある。しかしながらマスメディアのそうした姿勢の背景には,原子力がもつ固有の要因や,それを取り巻く社会状況が関わる。さらにそこにはメディア側と,メディアに対する原子力関係者の間の認識のずれの問題もひそむ。ここではラスウェルのモデルなどをもとに,こうした原子力をめぐるマスメディア報道の構造と,それをめぐる状況の一端を分析する。
著者
佐田 務
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.244-248, 2009 (Released:2019-06-17)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

日本の原子力開発は,人々の熱狂的な支持の下に始められた。しかし昭和40年代後半になると,社会党やその傘下の労働団体,学生運動,そして都市に拠点をもつ市民運動が,原発立地点における住民運動を支援する形で,反原発運動に参入しはじめる。そしてチェルノブイリ事故後の反原発ブームの到来により,運動は昭和63年に空前の盛り上がりを見せた。しかし,その後の反原発運動は,「もんじゅ」でのナトリウム漏れ事故やJCO事故,美浜発電所3号機での事故などのトピカルな問題では,ある程度の盛り上がりを一時的に見せることがあるものの,全般的には消沈する道をたどっている。
著者
佐治 悦郎 佐田 務 田中 治邦 福田 龍 堀内 知英 澤田 哲生
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.141-151, 2021

<p> 核燃料サイクルの基幹施設となる日本原燃の再処理工場とMOX燃料工場が昨年,相次いで操業に必要な安全審査に合格した。政府は長期的なエネルギー確保をめざす戦略の中で,当面はプルサーマルを推進していくとしている。とはいえ高速増殖炉の開発の見通しが不透明な中で,いわゆるプルトニウムバランスや安全性への懸念の声も聞かれる。専門家にこの問題をめぐる現況と,今後の課題や展望について論じてもらった。</p>
著者
佐田 務
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 = Journal of the Atomic Energy Society of Japan (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.358-360, 2008-06-01

<p> 日本原子力学会は3月27日に大阪大学で開いた春の年会で,「新潟県中越沖地震柏崎刈羽原子力発電所 地震報告会」と題する特別セッションを開いた。約250人が傍聴した会合では,産業技術総合研究所の杉山雄一氏が「今回の地震は,発電所の沖合から発電所のある南東方向に傾き下がる断層がひき起こしたと推定される」と指摘。また東京電力の吉田昌郎氏は「地震による原子炉建屋への影響評価を解析した結果は,全号機ともせん断ひび割れ発生の目安値を下回っており,それはおおむね弾性範囲内にとどまっていることを確認した」と述べた。さらに会場参加者との質疑では,堆積層による影響や今回の地震に伴う規制強化への懸念などについて質問があった。本稿では,このセッションのもようを紹介する。</p>