- 著者
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中谷 丈史
佐藤 伸治
- 出版者
- 紙パルプ技術協会
- 雑誌
- 紙パ技協誌
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.2, pp.197-201, 2018
- 被引用文献数
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2
<p>近年,セルロースナノファイバー(CNF)の研究開発は盛んに進められており,開発のフェーズは製造開発の段階から用途開発の段階へシフトし,世界中で大型の実証機が導入されている。当社では2007年から本格的にCNF製造技術開発に取り組み,2013年には山口県岩国市に実証機設備を立上げ,2017年には宮城県石巻市,島根県江津市の2拠点で量産機設置完了を予定している。大量の水を含む水分散体として製造されるCNFの実用化には移送コストの面,菌による汚染の問題から乾燥のプロセスが不可欠であるが,CNF水分散体をそのまま乾燥させて水分を取り除くと強固に凝集するため,水への再分散が困難となり,CNF本来の機能が損なわれることになる。本稿では,こうした凝集を防ぐ乾燥方法と,水に再分散した際の分散状態の評価方法について紹介する。</p>